糖質を制限して、体内でケトン体を作って痩せるケトン体ダイエットが注目されています。
ケトン体とは、タンパク質や脂肪から作られる、体のエネルギー源です。
ケトン体ダイエットでは、脂肪がケトン体になって燃焼されることで、効果的に痩せられると言われます。
しかし、ケトン体ダイエットの正しい効果は、推奨しているトレーナーや医師も、ほぼ全員知っていません。
そして、ケトン体ダイエットにはメリットが2つありますが、4つの大きなデメリットがあります。
この記事で、ケトン体ダイエットの正しいやり方と、食事を楽しみながら確実に痩せる方法が分かります!
この記事は、科学的な知見とトレーナーや医師への指導経験も持つ、プレズ<Plez>のコンサルタントが作成しました。
(ダイエットの結果には個人差があります)
1.ケトン体ダイエットとは
ケトン体というのは、タンパク質や脂肪から作られ、体のエネルギーになる物質です。
ケトン体は、アセトン・アセト酪酸・β-ヒドロキシ酪酸という物質の総称です。
脳が、ブドウ糖だけでなくケトン体を使うこともあります。
根拠論文:ケトン体:wikipedia
ケトン体ダイエットというのは、体脂肪からケトン体を積極的に作ることによって、脂肪を燃焼して痩せるという方法です。
体の中のケトン体回路は、普通の食事をしている時にはほとんど使われていません。
これが、食事で摂る糖質を極端に制限すると、ケトン体を多く使うようになります。
体で使う糖質が足りなくなるので、ケトン体を作り出して使うイメージです。
糖質は、スイーツや果物にも含まれるほか、主食で多く取っている栄養素です。
ご飯・パン・麺類に多く含まれています。
ケトン体ダイエットは、糖質を含むこれらの食品を制限するダイエット方法です。
初めの2週間は糖質を1日に20g以下、その後は120g以下に抑えるという基準で行われることもあります。
2.ケトン体ダイエットのメリット
ケトン体ダイエットには、2つのメリットがあります。
この2つのメリットは、ダイエット・ボディメイクをする上で非常に役立つものです。
2.1ケトン体ダイエットは満腹感を得やすい
ケトン体ダイエットの最大のメリットは、満腹感を得やすいことです。
日本人は、平均して、カロリーの50~60%を糖質から取っています。
その糖質のほとんどは、ご飯や麺類などの主食で摂っています。
それをカットすると、一気にカロリーを半分ぐらいに減らせるので、多少おかずを増やしても痩せることが出来ます。
実際に、主食をカットして少しおかずを増やすと、かなり満腹感を得られることが分かると思います。
2.2ケトン体ダイエットはタンパク質を摂りやすい
もう1つのメリットは、ケトン体ダイエットはタンパク質を摂りやすい点です。
体脂肪を落とすために、タンパク質は必要ありません。
しかし、ダイエット中に筋肉を減らさないために、大切な栄養素です。
ダイエット中のタンパク質が少ないと、脂肪と一緒に筋肉もどんどん減ってしまいます。
普通にダイエットをすると、脂肪と筋肉は3:1ぐらいで減ってしまいます。
そこで、ダイエット中にタンパク質をしっかり摂ることで、筋肉をキープしやすくなります。
男女とも、適度に筋肉があると、単に細いだけよりキレイなスタイルを作れます。
タンパク質は、肉・魚・卵などに多く含まれます。
そして、これらの食品には糖質がほとんどなく、脂質が多い傾向にあります。
ヒレ・モモ・皮なしチキン・多くの魚介類・卵の白身などは、糖質も脂質も少ない、高タンパク低カロリーの食品です。
一方、ロース・バラ・トロ・サンマ・卵の黄身は、タンパク質をある程度含む一方、脂質もかなり含んでいます。
糖質をカットすると、これらの食品を食べる余裕ができるので、タンパク質を摂りやすくなります。
3.ケトン体ダイエットのデメリット
満腹感を得やすく、筋肉を落とさずに痩せるというと、理想的なダイエットにも思えます。
しかし、ケトン体ダイエットには、4つの大きなデメリットがあります。
メリットがあるからと言って、安易に実践すべきではありません。
ただ、ダイエットの本質を理解すれば、デメリットを避けて、メリットだけを得られるようになります。
ケトン体ダイエットを正しく理解して、健康的で楽しく痩せられるように、4つの大きなデメリットを紹介します。
3.1ケトン体ダイエットは続かない
ケトン体ダイエットは満腹感を得やすいので、続けやすいダイエットと思ってしまいます。
しかし、実際にやってみると、食事がかなり難しいことが分かります。
特に、外食だと、ほとんど食べる物がなくなります。
定食のご飯NG・丼ものNG・寿司NG・うどんNG・そばNG・ラーメンNG・パスタNG・ピザNG・パンNGと、食べられるものを探す方が難しくなります。
さらに、1日20g以下という制限の場合、醤油NG・ソースNG・調味料の砂糖NGとなってしまいます。
こうなると、神経をすり減らしながら自炊をするしかありません。
人と食事をすることもできず、生活をダイエットに捧げるぐらいの覚悟が必要になってしまいます。
ダイエットの本質を押さえれば、もっと自由に食事を楽しみながら痩せることができます。
3.2ケトン臭という体臭・口臭がでる
ケトン体ダイエットをすると、血中のケトン体が増えて、尿や呼気・汗にもケトン体が含まれるようになります。
そうすると、ケトン臭という体臭・口臭が出てしまいます。
ケトン臭は、果物が腐敗したような甘酸っぱい臭いです。
「痩せるためには、体臭・口臭ぐらい気にしない!」という覚悟がなければ、ケトン体ダイエットは実践しない方が無難です。
ケトン体を作ることは、痩せるために必須ではありません。
また、ケトン体を作ることが痩せる本質ではありません。
ダイエットの本質を押さえて、食事の自由度を高めると、ケトン臭を出さずに痩せることが出来ます。
3.3ケトン体ダイエットは体調・健康を害する
ケトン体ダイエットの大きなデメリットが、健康被害です。
ケトン体ダイエット・極端な糖質制限を実践した人には、倦怠感・頭痛や、階段を上っただけでしばらく動けなくなる、という経験をした人がいます。
ひどい場合、摂食障害という病気になった人もいます。
プレズ<Plez>でダイエット指導を受けられる方の中にも、過去に、極端なケトン体ダイエットで生理が止まった経験のある方もいらっしゃいます。
また、炭水化物(≒糖質)を減らし、動物性タンパク質を増やした食事を続けると、長期的に見て亡くなる率が高まるという研究もあります。
根拠論文:Low carbohydrate-high protein diet and mortality in a cohort of Swedish women.
ケトン体ダイエットのみならず、極端なダイエットは、健康面からも良くありません。
ダイエットの本質を押さえれば、健康被害のリスクを下げて、健康的に痩せることが出来ます。
3.4ケトン体ダイエットは痩せないこともある
ケトン体ダイエットは、満腹感を得やすいダイエット方法です。
そのため、【ラクに痩せられるダイエット】と紹介されることがよくあります。
しかし、ケトン体ダイエットは、全く痩せなかったり、むしろ太る可能性もあります。
それは、糖質を控えることは、痩せる本質ではないからです。
「糖質を抑えれば、どれだけ肉を食べても痩せない」という情報もあります。
もちろんそんなことはなく、糖質だけ押さえても、肉・油・乳製品・卵などを食べすぎると、太ってしまいます。
ケトン体ダイエットは痩せることもありますが、やり方を間違えると、失敗に終わってしまいます。
ダイエットを確実に成功させるためには、本質を押さえた方法を実践しましょう。
ダイエットの本質を押さえれば、体質など関係なく、誰でも痩せることが出来ます。
4.ケトン体ダイエットの真相
ケトン体ダイエットで痩せるのは、糖質を制限してケトン体が作られるからではありません。
糖質を制限した結果、自然とカロリーが減るからです。
そして、糖質を抑えることが、カロリーを抑える唯一の方法ではありません。
カロリーを抑える方法を身につければ、食事を楽しみながら、健康的に痩せることが出来ます。
4.1ケトン体とダイエットの本質
体の中の脂肪は、体が使うエネルギーの量と、食事で摂るエネルギーの量によって変化します。
体のエネルギー源は、主に脂肪と糖質です。
そして、体の中の糖質は標準的な量が決まっていて、一時的に増減しても、すぐに元の量に戻ります。
ダイエットの開始時と終了時で、体の中の糖質の量はほとんど一緒です。
そのため、使うエネルギーと食事で摂るエネルギーの差は、ほぼ全部が体脂肪の変化となって現れます。
つまり、体脂肪は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって変化するのです。
摂取カロリーと消費カロリーのバランスを変えることが、ダイエットの本質です。
4.2ケトン体ダイエットと体脂肪の燃焼
体脂肪をそのまま使っても、ケトン体にして使っても、エネルギーとして使わないと減りません。
つまり、どちらにしても、体脂肪はカロリー消費によって減るのです。
そして、糖質の1kcalも脂質の1kcalも、同じ1kcalです。
どのようなダイエットでも、摂取カロリーと消費カロリーが本質というのは変わらないのです。
また、糖質は1gで4kcalですが、脂質は1gで9kcalと、同じ量だと脂質の方が倍以上の高カロリーです。
糖質を抜いてケトン体を作っても、脂質を摂り過ぎると、脂肪はどんどん増えていきます。
逆に、ケトン体を作らなくても、全体のカロリーを抑えれば脂肪はどんどん減っていきます。
ココナッツオイルがケトン体を作ると言われることもありますが、ケトン体ができるのは、糖質が制限されるからです。
100gで900kcalもあるココナッツオイルは、ただ摂取カロリーが増えるだけで、ダイエットにはマイナスです。
体脂肪をそのまま使うか、ケトン体にして使うかというのは、ご飯をそのまま食べるか、おにぎりにして食べるかという程度の違いです。
「ケトン体にするとどんどん脂肪が燃焼される!」というのは、「ご飯は全然食べられないのに、おにぎりにするとドンドン食が進む!」というおかしな現象です。
両方、同じ量のご飯を食べないと、ご飯は減りませんね。
4.3体は常に体脂肪を使っている
体は、ケトン体を作らなくても、常に体脂肪を使っています。
心肺の働き・体温の生成・立つ・歩くなどの活動で、体脂肪を燃焼しています。
体脂肪→ケトン体→燃焼というのは、1つの回路にすぎません。
常に、体脂肪→燃焼という回路を使っているのです。
そして、ダイエットの本質がカロリーと分かれば、食べる物の幅を広げて、食事を楽しみながら確実に痩せることが出来ます。
5.食事を楽しめる効果的なダイエット
ダイエットの本質はカロリーです。
それが分かっていると、食事を自由に楽しめるようになります。
大切なのはトータルのカロリーを抑えることなので、食べてはいけない食品は1つもありません。
ポイントは、食べる物を変えてカロリーを抑えることです。
例えば、普段食べている高カロリーの部位の肉を、低カロリーの部位に変えるといったことで、同じ量を食べながらカロリーを抑えられます。
今までより250kcal抑えるだけで、1ヶ月に体脂肪を1kg、500kcal抑えれば2kg落とすことが出来ます。
5.1自由な食事でダイエット
カロリーを主軸にすると、調整も自由にできるので、気分や好みに合わせて食事が出来ます。
NG食品だらけで外食が出来ない、ということもありません。
カロリーが低い物を注文したり、他の食事で調整することで、外食をしながらダイエットが出来ます。
「昼は外で麺類を食べて、夜は家で主食を抜いてステーキや揚げ物を食べる」など、食事の自由度がグンと高まります。
他の食事のカロリーを抑えれば、スイーツを食べても大丈夫です。
糖質も適度に摂れるので、健康被害やケトン臭も起きにくくなります。
プレズ<Plez>のダイエット方法では、食べてはいけない食品は1つもありません。
カロリーを主軸にして適度に糖質をカットすれば、ケトン体ダイエットのデメリットを防ぎながら、メリットだけを得られます。
5.2楽しいダイエットは続く
食事を自由に楽しめば、ストレスも少なく、自然とダイエットを続けることが出来ます。
そうすると体も変わっていき、それが嬉しくてモチベーションになるので、さらにダイエットを続けやすくなります。
本質を押さえ、楽しく効果的な食事をすることで、ダイエットの成功がグッと近づきます。
ケトン体ダイエットまとめ
いかがでしたでしょうか?
ケトン体ダイエットを実践していた人にとっては、糖質を抜いてカロリーが減っているだけということに驚いたかもしれません。
痩せる本質がカロリーであると分かれば、ケトン体ダイエットにこだわる必要はなく、食事の幅が一気に広がります。
主食を食べたい時はカロリーが低いおかずにしたり、高カロリーのものを食べたいときは主食を抜くなど、自由に調整が出来ます。
ダイエットの本質であるカロリーを主軸にすると、健康や人付き合いを大切にしながら、確実に痩せることが出来ます。
正しい知識を身につけて、自由で効果的なダイエットを実践し、楽しく理想のスタイルと健康な体を手に入れましょう!
この記事のポイントまとめ
● ケトン体ダイエットはメリットもあるが、大きなデメリットがある
● ケトン体ダイエットで痩せるのは、糖質のカロリーが減るから
● カロリーがダイエットの本質
● カロリーを減らせば、糖質を摂っても痩せる
● カロリーに着目すれば、自由に食事を楽しみながら、健康的に痩せられる
ケトン体ダイエットでは、血糖値、インスリンも影響するのではないでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
血糖値・インスリンはよく太る原因と言われますが、実際のところ、ダイエットにはほとんど影響しないですね。
血糖値の上昇・インスリンの分泌があっても、よく言われるような血中の糖質→脂肪への変換は、通常起きないんですね。
ケトン体ダイエットで痩せるのも、糖質を抜いて自然とカロリーが減っているからで、特別な効果はない形ですね。
こちらの記事も参考になると思います。
これが本当の糖質制限ダイエット!楽しく続けられる方法