ベンチプレスは人気のトレーニング種目で、筋肉質な体を持つ多くの人がベンチプレスを実践しています。
「カッコイイ体を作るため」「健康な体を手に入れるため」「競技のパフォーマンスを高めるため」などの目的で、ベンチプレスを実践している、もしくは実践しようと考えているかもしれません。
実際に、ベンチプレスは効果的に上半身を鍛えられる種目です。
一方で、「目的の筋肉が効いているか分からない」「正しいフォーム・やり方が分からない」「ベンチプレスをやっているのに効果が無い」という悩みもよくあります。
トレーニングを頑張っているのに「成果が見えない」「効果を感じられない」というのは悲しいものです。
ベンチプレスは単純なようで、フォームの作り方・バーの握り方・下ろす位置など、フォームのコツや注意点が多い種目です。
そこで、効果的なベンチプレスの実践方法・コツを紹介します。
「ベンチプレスはどんな効果があるのか知りたい」「ベンチプレスをやってみたい」といった希望から、「もっと効果を高めたい」「確実に体を変えたい」という希望に沿えるように、プレズ<Plez>のコンサルタントが、ベンチプレスを徹底解説します!
この記事は、科学的な知見と医師やトレーナーへの指導経験も持つ、プレズ<Plez>のコンサルタントが作成しました。
(ダイエットの結果には個人差があります)
1.ベンチプレスとは
ベンチプレス(bench press)とは、トレーニングベンチを使い、仰向けになった状態でウエイトを押し上げる筋トレ種目です。
腕を押し出す力でウエイトを上げ、大胸筋・三角筋の前部・上腕三頭筋(二の腕)を一度に鍛えられます。
大胸筋・三角筋の前部は上腕を体の前に出す働き、上腕三頭筋はヒジを伸ばす働きをします。
①大胸筋・三角筋前部の力
②上腕三頭筋の力
ベンチプレスは、スクワット・デッドリフトとともに筋トレのBIG3の1つに数えられ、人気も効果も高い種目です。
2.ベンチプレスの基本フォーム
ベンチプレスの基本的なやり方がこちらです。
1:バーベルを乗せるラックの高さを調節する
2:バーベルが上げらなかった時のために、ベンチ横にセーフティバーをセットする
3:バーベルをラックにセットし、プレートをつけてカラーで固定する
4:ベンチに仰向けになる。バーベルが目の上に来るぐらいの位置が目安。
5:ラックからバーベルを上げて、腕が地面と垂直になる位置までバーベルを持ってくる
6:息を吸いながら、バーベルが胸に付くまで下ろしていく
7:胸・肩・腕の力でバーベルを上げる。息を吐きながら上げるか、呼吸を止めながら上げ、上げきってから息を吐く。
8:6・7を繰り返し、セット終了後にバーベルをラックに戻す
9:ジムの場合、トレーニング終了後にタオルでベンチをふくのを忘れずに
● 基本フォームの参考動画
3.重量・セット数・頻度
point
オーソドックスなトレーニング方法としては、重めのウエイトを使って、限界までの拳上を4セット、週に2回行うのが効果的
ベンチプレスの重量は、8回ぐらいで限界が来る重めのウエイトを使いましょう。
軽いウエイトでも、しっかり筋肉を使い切ればトレーニング効果はあります。
しかし、軽いウエイトで筋肉を使い切るのに何十回も上げる必要があり、試してみると実感できますが、むしろキツいトレーニングになってしまいます。
重いウエイトの方が、効果的なトレーニングをラクに実践できます。
セット数は、1セットだけだと効果が低くなり、10セット~と多すぎると、効果は増えないのに疲労ばかり溜まってしまいます。
そこで、4セットが効果的です。
また、本番の4セットを行う前に、ウォーミングアップセットを入れましょう。
本番セットの50%と80%ぐらいの重量を使って、ウォーミングアップを行います。
筋肉を温めるのがウォーミングアップセットの目的なので、限界まで追い込む必要はありません。
トレーニングの頻度は、遅すぎると効果が低くなり、頻繁にやりすぎると、疲労ばかり溜まって効果的なトレーニングが出来ません。
その兼ね合いで、週に2回が効果的です。
2~3日休息をはさんで、筋肉の疲労をしっかり回復してからトレーニングを行いましょう。
重めのウエイトで4セット、週に2回トレーニングを行うのが、オーソドックスで効果的なベンチプレスの実践方法です。
目的ごとに細かく調整した実践方法は、6.目的別のフォーム・コツで紹介します。
4.効果を高めるコツ・ポイント
ベンチプレスはトレーニング効果が高い種目です。
その一方で、「あまり大胸筋に効かない」「なかなか重量が伸びない」という悩みもあります。
しっかりトレーニング効果を得るためには、正しいフォームで、ポイントを押さえてベンチプレスを実践する必要があります。
また、ベンチプレスは上半身の種目ではトップクラスの重量を扱うため、ケガを防ぐためにも、正しいフォームで行うことが重要です。
ケガを防ぎ、目的の筋肉を効果的に鍛えられるように、ベンチプレスのコツ・ポイントを紹介します。
4.1肩を固定する
point
ベンチプレスでは、肩甲骨を寄せて肩を後ろに引き、肩の位置を固定したままウエイトを上げる
ベンチプレスでウエイトを上げるときに、肩を体の前に出してしまうと、大胸筋があまり収縮しなくなり、肩の力ばかり使ってしまいます。
加えて、肩関節に負荷がかかり、肩を痛める原因になることもあります。
それを防ぐために、ベンチプレスを行う時は、肩甲骨を寄せて肩を後ろに引いた状態を固定しておきましょう。
胸を張って肩甲骨を寄せ、肩を背骨に近づけるイメージです。
そして、ウエイトを上げる時にも、肩を引いた状態を保ちましょう。
これによって、肩関節の負担を減らすとともに、しっかり大胸筋を使うことが出来ます。
ベンチプレスを始める時は、ベンチに仰向けになったら、まず肩甲骨を寄せて基本のフォームを作り、それからバーを握りましょう。
4.2背中のアーチ・ブリッジ
point
鍛えたい筋肉をしっかり使えるように、脚・お尻・肩の3点で体を支えて安定させる
ベンチプレスで鍛えたい胸・肩・腕の筋肉をしっかり使えるように、体が安定するフォームを作りましょう。
両脚を地面に付け、お尻をベンチに付けて、胸を張って背中に少しアーチを作ります。
これによって、脚・お尻・肩の3点でしっかり体を支えられます。
お尻を浮かせてブリッジを作る方法もありますが、少し安定性が低くなり、ブリッジを作りすぎると背骨に負担がかかってしまい、ます。
そのため、お尻はベンチにつけておく方がオススメです。
また、脚をベンチに上げる方法もありますが、体勢が少し不安定になるので、しっかり地面に付けるようにしましょう。
4.3ウエイトのグリップ
point
手首に負担がかからないようにウエイトを握る
ウエイトの握り方で大事なのは、手首に負担をかけないことです。
指に近い位置でバーベルを握ると、手首に負担がかかり、ケガの原因になりかねません。
手首に負担を掛けないコツは、「バーを前腕に乗せる」イメージでバーを持つことです。
ウエイトの握り方には、サムレスグリップとサムアラウンドグリップがあります。
どちらのグリップでもトレーニング効果に大きな違いはありませんが、手首に負担がかからないようにすることが共通して重要です。
サムレスグリップは、「バーを前腕に乗せるイメージ」をつかみやすい握り方です。
サムアラウンドグリップはフィット感がありますが、バーを前腕に乗せるようにするには、少しコツが入ります。
サムアラウンドでは、腕を少し内側に回し、腕を内股にするイメージでバーを握りましょう。
手を内股にすることによって、手の腹でバーを持つ形になり、前腕でウエイトを支えらます。
そして、小指側ではなく人差し指側に重点を置くことで、大胸筋に負荷を乗せやすくなります。
4.4ヒジの位置
point
ヒジがバーの真下に来るようにする
横から見た時に、ヒジがバーの真下に来るようにしましょう。
ヒジの位置がズレていると、無駄に腕の使用が増えてしまうとともに、ヒジに負担がかかってしまいます。
ウエイトとヒジの位置を併せることで、ヒジの負担を減らし、しっかり大胸筋・三角筋を鍛えることが出来ます。
4.5バーを握る手幅
point
胸を中心に鍛えたい場合は手幅を広めに、腕を中心に鍛えたい場合は手幅を狭くする
ベンチプレスでは、バーを握る手の幅によって、メインで鍛えられる筋肉が変わってきます。
バーを広く握ると大胸筋・三角筋をよく使い、狭く握ると上腕三頭筋をメインで使います。
手幅が広すぎると、可動域が狭くなり、手首にも負担がかかってしまうので注意しましょう。
基本的なフォームとしては、肩幅よりも少し広いぐらいでバーを握るのが目安です。
上腕が地面と平行になるときに、前腕が垂直に立つぐらいの手幅が目安です。
4.6大胸筋の意識
point
大胸筋の働きを理解して、筋肉の動きを意識しながらトレーニングを行う。
大胸筋の働きは上腕を上げること。
「ベンチプレスをやっても、大胸筋に効いているか分からない・・・」というのはよくある悩みです。
筋肉を効果的に鍛えるためには、筋肉の働きを意識することも大切です。
大胸筋は、上腕を前に出す働きをします。
筋肉の働きを知り、しっかり意識をすることで、トレーニング効果は大きく変わってきます。
大胸筋に効きづらい場合、腕の力を抜いて、「上腕でウエイトを押す」ように意識してみましょう。
4.7バーベルの下ろし方
point
大胸筋上部を鍛えたい場合はバーベルを鎖骨当たりに下ろし、下部を鍛えたい場合はみぞおちあたりに下ろす
ベンチプレスは、バーベルを下ろす位置によって、メインで鍛えられる大胸筋の部位が変わってきます。
下ろす位置を鎖骨に近づけると大胸筋の上部~中部を、みぞおちに近づけると下部~中部を使います。
鍛えたい部位に合わせて、バーを下ろす位置を調整しましょう。
鎖骨の当たりに下ろす場合、少し肩への負荷が増えるので、無理に高重量を扱わず、しっかりコントロールできる重量を使いましょう。
4.8バーベルの上げ方
point
効果を高めるために可動域を広くとり、バーは水平を保ったまま上げる
バーベルの上げ方には3つのポイントがあります。
1.可動域をできるだけ広く取る
2.大胸筋を収縮させる
3.バーを水平に保ったまま上げる
トレーニングは、可動域を広く取ることで効果を高められます。
バーベルは胸に付くまで下ろし、しっかり上げきりましょう。
可動域を制限して、常に筋肉に力が入っている状態を作り、パンプアップ(筋肉が水分によって膨らむ現象)を狙うトレーニング方法もあります。
しかし、可動域が広い方がトレーニング効果は高くなります。
①フルレンジ ②可動域を限定の2パターンで10週間腕のトレーニングを行った実験でも、フルレンジの方が効果が高く、筋肉の成長は約1.3倍、筋力の向上効果は約1.6倍になっています。
筋肉量の増加 | 筋力の向上 | |
---|---|---|
可動域を限定 | 7.37% | 16.0% |
フルレンジ | 9.52% | 25.7% |
効果の違い | 1.3倍 | 1.6倍 |
根拠論文:Effect of range of motion on muscle strength and thickness.
可動域を広げると扱える重量は減りますが、筋肉が発揮する力が弱まっているわけではなく、トレーニング効果はむしろ高まります。
また、上げるときにバーベルが傾いていると、左右の筋肉で使っている力が変わってしまいます。
バランスよく筋肉を鍛えられるように、バーベルは水平を保ちましょう。
4.9筋肉痛とトレーニング効果
point
筋肉痛とトレーニングの効果・疲労は無関係
初めてトレーニングをした翌日には、強烈な筋肉痛が来ると思います。
そして、しばらくトレーニングを続けていると、筋肉痛はほとんど起きなくなります。
これは、トレーニング効果が無くなったわけではありません。
筋肉痛≠トレーニング効果です。
しっかり筋肉を鍛えれば、筋肉痛が来なくても、筋肉は成長していきます。
また、筋肉痛≠疲労です。
しっかりトレーニングをすれば、筋肉痛が来なくても、疲労を回復するために休息が必要です。
逆に、しっかり休息を摂れていれば、筋肉痛が多少残っていても、効果的なトレーニングをできます。
疲労の回復・トレーニング効果を判断する基準は、筋肉痛ではなく、「重量や回数が前回よりも落ちていないか・伸びているか」です。
筋肉痛によって疲労・効果を判断し、変にトレーニングのペース・内容を変えるより、基本的な内容・ペースを一定にした方が確実に効果を得られます。
4.10重量・回数を伸ばしていく
point
筋力の向上・筋肉の成長に合わせて、重量・回数を上げていく。
筋肉の成長には、カロリーとタンパク質も重要。
トレーニングをして、筋肉が成長・筋力が向上していけば、それに合わせて徐々に重量や回数を上げていきましょう。
筋力が向上しても同じ重量・回数を続けていると、筋肉をしっかり使い切れず、筋肉は成長しません。
基本的な内容・ペースは一定にする方が効果的ですが、重量・回数はだんだん増やしていきます。
そして、トレーニングだけでなく、筋肉の成長には食事も重要です。
筋肉を付けるためには、タンパク質とカロリーをしっかり摂りましょう。
筋肉を作る材料が、タンパク質です。
タンパク質をしっかり摂ることで、タンパク質→筋肉に合成される量が増えます。
そして、カロリーをしっかり摂り、摂取カロリー>消費カロリーの状態を作ることで、脂肪と一緒に筋肉が付いていきます。
カロリーを抑えて、脂肪を付けずに筋肉だけを付けようとしても、筋肉はなかなか増えません。
カロリーをしっかり摂り、脂肪も付けながらの方が、筋肉は効率的に成長します。
5.ベンチプレスの効果
「カッコイイ体を作りたい」「競技のパフォーマンスを高めたい」「体を引き締めたい」など、ベンチプレスは色々な目的で実践されます。
ベンチプレスは効果的な種目ですが、ほとんどない効果を期待して実践してしまっていることもあります。
期待通りの効果を得られるように、ベンチプレスには具体的にどのような効果があるのか、詳しく紹介していきます。
5.1ボディメイク効果
ベンチプレスを実践する目的として多いのが、「筋肉を付けてカッコイイ体を作る」というものです。
ベンチプレスは、男性がカッコイイ体を作るのに重要な、胸・肩・腕の筋肉を一度に鍛えられます。
男性の場合、ベンチプレスはぜひ実践するべき、ボディメイクに非常に効果的な種目です。
一方、女性の場合、ベンチプレスは少し重要度が下がります。
それは、女性がボディメイクをする上で、大胸筋はあまり重要ではないからです。
実は、ベンチプレスをして大胸筋を鍛えても、バストアップ効果はほとんどありません。
バストを直接支えているのは、大胸筋ではなく、クーパー靭帯というものです。
ベンチプレスをかなり頑張って、大胸筋が数mm厚くなっても、ほとんどバストアップ効果はないのです。
しかし、女性でも、肩・二の腕の筋肉を鍛えることはボディメイクに効果的です。
適度に肩の筋肉を付けると、相対的にくびれが細く見えるとともに、小顔効果もあります。
また、二の腕の筋肉を付けると、脂肪の内側から筋肉が張り出すことによって、脂肪が薄く見えます。
二の腕が細くなるわけではありませんが、筋肉を付けることで、ハリのある二の腕が手に入ります。
5.2健康促進効果
デスクワークが中心の生活など、普段運動をしていないと、年の経過とともに筋肉・筋力が衰えてしまいます。
体の衰えを防ぎ、ハリのある生活を送るためにも、筋力・筋肉を保つことは重要です。
ベンチプレスで筋肉を鍛えると、筋肉の衰えの防止・筋力の向上ができ、健康的な生活を送れます。
特定の疾患の治療の一環として行う場合は、医師の指導に従って行うようにしてください。
5.3ダイエット効果
point
ベンチプレスに体脂肪を落とす効果はほとんどない。
ベンチプレスは筋肉によるボディメイクのために実践する。
ダイエットのために、ベンチプレスを取り入れている・これから取り入れようと考えている人もいるかもしれません。
しかし、ベンチプレスにダイエット効果はほとんどありません。
ベンチプレス1セットで消費するカロリーは、5kcal程度です。
体脂肪を1kg落とすだけでも、ベンチプレスが1,500セットぐらい必要になってしまいます。
また、筋肉を1kg増やして上がる基礎代謝も、10~30kcal/日程度です。
体脂肪を落とすためには、筋トレではなく、食事の管理が効果的です。
ただし、カッコイイ体を作るために、「ダイエット中にベンチプレスを行うこと」は効果的です。
それは、筋トレはダイエット中に筋肉をキープする効果があるからです。
筋肉をキープしながら体脂肪だけを落とすと、筋肉のラインが浮かんできて、筋肉増+脂肪減になったように体が変化します。
ベンチプレスは、ダイエットのためではなく、筋肉によってボディメイクをするために実践しましょう。
効果的なダイエット方法は、こちらの記事 プロも選ぶ!99%痩せる本物のダイエット方法!! でご覧いただけます。
5.4競技のパフォーマンス向上効果
ベンチプレスで鍛えられる大胸筋・肩・腕の筋肉は、腕を動かすほとんどの動作で力を発揮します。
これらの筋肉を鍛えれば、競技で発揮できるパワーが高まり、パフォーマンス向上につながります。
ベンチプレスで鍛えられる筋肉は、格闘技のパンチの動作を初め、ボールを投げる、テニスやバドミントンなどのラケットのスイング、柔道の釣り手、ゴルフのスイングなどで使用します。
また、胸・肩の筋肉は腕を振り上げるときにも働くので、走る動作にも影響し、ベンチプレスは多くの競技でパフォーマンスの向上が見込めます。
6.目的別のフォーム・コツ
ベンチプレスは、ボディメイク・競技のパフォーマンス向上など、目的とする効果によって、適したやり方が少し違います。
目的に合った効果を得られるように、目的ごとに効果的なベンチプレスの実践方法を紹介します。
6.1ボディメイクのためのベンチプレス
point
8回ぐらいできる高重量を使い、正しいフォームで4セット、週に2回のトレーニングが効果的
ボディメイクでは、「筋肉を成長させてカッコイイ体を作る」ためにベンチプレスを行います。
ボディメイクでは、「上げる重量を伸ばす」「筋力が上がる」というのは、筋肉が成長した結果に過ぎません。
筋肉を成長させてカッコイイ体を作るには、「大きくしたい筋肉をしっかり使う」ことが重要です。
高重量を上げるためにフォームを崩すようなことはせず、「正しいフォームでしっかり筋肉を使う」ことを意識しましょう。
大胸筋をバランス良く鍛えるには、あまりブリッジをかけず、バーをみぞおちと鎖骨の中間に下ろし、水平にバーベルを上げるようにしましょう。
筋肉を成長させるには、オーソドックスな、8回ぐらいできる高重量で4セット、週に2回のトレーニングが効果的です。
6.2競技のためのベンチプレス
point
競技のパフォーマンス向上には、競技の特性に合わせて、筋力や筋持久力を高めることが重要。
筋力の向上には1~3回が限界の高重量、筋持久力の向上には30~50回ぐらいできる低重量が効果的。
競技のパフォーマンスを高めるには、筋肉の能力を高めることが重要です。
競技の特性によって、必要な能力は筋力と筋持久力に分けられます。
筋力は筋肉が発揮するパワー、筋持久力は筋力を継続して発揮できる持続力です。
例えば、100m走では約10秒に全力を発揮するため、筋力が重要で、筋持久力は必要ありません。
逆に、マラソンでは、2時間以上一定のペースで走り続けられる筋持久力が重要です。
そして、テニス・ボクシング・バドミントンなど、多くのスポーツでは、強い筋力とそれを継続して発揮できる筋持久力の両方が重要です。
筋力を向上させるトレーニング方法
筋力の向上には3つの要素があります。
a.筋肉を大きくする
b.力を発揮する筋繊維の割合を高める
c.筋肉の連動・瞬発力
筋肉が発揮する力は、【筋肉の大きさ×力を発揮する割合】で決まります。
筋肉は筋繊維が集まって構成されています。
筋肉を成長させ、筋繊維を太くすることで、筋肉が発揮する力が強まります。
ただ、筋肉を構成する筋繊維は、全力を出した場合でも、全ての筋繊維が力を発揮している訳ではありません。
一部の筋繊維しか、力の発揮に参加していないのです。
力を発揮する筋繊維の割合を高めるには、トレーニングで神経を鍛えることが必要です。
①筋肉を大きく成長させることと、②神経を鍛えて力を発揮する筋繊維の割合を高めることで、筋力は向上します。
神経を鍛えるためには、1~3回しか上げられない高重量が適しています。
ただし、限界ギリギリの高重量は体への負担も大きく、フォームも乱れやすくなります。
そこで、オススメのトレーニングは、1セット目に1~3回が限界の高重量を使って神経の発達を狙い、2セット~は8回ぐらいできる重量を使って筋肥大を狙う方法です。
これによって、神経の発達と筋肥大の両方を行い、効果的に筋力を向上させられます。
また、ボディメイク目的のトレーニングでは、「筋肉に効かせる」ことを目的に正確なフォームで行い、筋肉の連動・瞬発力・反動はあまり使いません。
しかし、競技においては、全身を一体にして、連動・瞬発力・反動を使う方が強い力を発揮できます。
反動などを使わない動きは競技に適さず、その動きに慣れることは、パフォーマンスのためにはマイナスです。
競技のパフォーマンスを高めるには、全身の筋肉を連動させ、反動・瞬発力も使い、爆発的にバーベルを上げるようにベンチプレスを行うことが効果的です。
筋持久力を高めるレーニング方法
筋持久力を高めるには、筋肉周りの毛細血管を増やすことが重要です。
毛細血管が増えると、筋肉からの疲労物質の排除・筋肉へのエネルギー物質の供給などの能力が高まり、筋持久力が高まります。
筋持久力を高めるには、低重量を使った高回数のトレーニングが効果的です。
具体的には、30~50回できる低重量を使いましょう。
高回数のトレーニングを行うことで、筋肉周りの毛細血管が発達し、継続して筋力を発揮できるようになります。
筋力と筋持久力を高めるトレーニング方法
筋力・筋持久力を両方向上させるためには、高重量と低重量を組み合わせた、こちらのセットの組み方が効果的です。
1セット:1~3回の高重量
2セット:8回の高重量
3セット:30~50回の低重量
4セット:30~50回の低重量
6.3健康のためのベンチプレス
point
8回ぐらいが限界の高重量で4セット、週に2回のトレーニングが効果的
筋肉が衰えないよう、健康目的でベンチプレスを行う場合、筋力を向上させることが重要です。
筋力の向上には、筋肉を成長させることと、神経を発達させることが効果的です。
ただ、競技のパフォーマンスを高める場合と違い、筋力を限界まで高める必要ありません。
そのため、無理して1~3回が限界の高重量を取り入れる必要はありません。
オーソドックスな、8回出来る重量で4セット、週に2回のトレーニングが十分効果的です。
8回ぐらいできる重量でも、神経はある程度発達していきます。
健康目的なら、しっかりウエイトをコントロールでき、正しいフォームで安全にトレーニングできる重量がオススメです。
6.4競技として行うベンチプレス
point
ベンチプレスの重量を争う競技では、筋力の向上に加えて、高重量を上げることに特化したフォーム・上げ方も重要
スクワット・デッドリフト・ベンチプレスの合計重量を競う、パワーリフティングのように、ベンチプレスの重量そのものが重要な競技もあります。
ベンチプレスの重量を競う競技では、着用できるシャツ(ギア)、手幅の広さの上限、フォームなど、細かいルールが決まっています。
そして、極力可動が短くて済むように、ルールの範囲内で、強くブリッジをかけてみぞおち~お腹あたりにバーベルを下ろします。
これは、純粋に上げる重量を伸ばすためのテクニックです。
ボディメイク・健康・スポーツのパフォーマンスなど、筋肉の成長や筋力の向上を目的にする場合は、重量を上げるためのフォームを取り入れる必要はありません。
ベンチプレスを競技として行う場合は、テクニック・ルールに精通した、パワーリフティングジムでのトレーニングがオススメです。
7.必要な設備・器具
ベンチプレスを行うには、設備・器具が必要です。
器具を揃えれば、自宅で効果的なトレーニングをすることも可能です。
安全で効果的にベンチプレスを実践できるように、必要な設備・器具を紹介します。
7.1ジムで行う場合
ほとんどのジムに、ベンチプレス用のラック付きトレーニングベンチがあります。
また、ダンベルベンチプレスであれば、ラックが無くても、普通のフラットベンチで実践できます。
初心者や女性にとっては、「ジムのフリーウエイト(バーベルやダンベル)コーナーは、筋肉質な男性が占拠していて近づきづらい」という場合もあるかもしれません。
その場合は、インストラクターに声をかけて、案内してもらいましょう。
ラックやセーフティバーの調整といった器具の使い方から、順番待ちなどのルールも教えてもらえます。
7.2家トレの場合
ベンチプレスは自宅で実践することも出来ます。
バーベルベンチプレスを行うために必要な器具がこちらです。
● バーベルシャフト
● プレート(+カラー)
● トレーニングベンチ(ラック・セーフティバー付、もしくは別途用意)
ダンベルベンチプレスであれば、ラック・セーフティバーが無くても、フラットベンチで実践できます。
可動域は狭まりますが、ダンベルさえあれば、ベッドなどでダンベルプレスを行うこともできます。
自宅で行う場合でも、ペットボトルなどをウエイトに使うのはオススメではありません。
軽すぎて、ほとんどトレーニング効果が無いからです。
自宅でも、バーベル・ダンベルなどを用意して、しっかり筋肉を使えるトレーニングを行いましょう。
自宅でトレーニングをする場合、ファイティングロードの器具がリーズナブルでオススメです。
プレズ<Plez>では、公正な立場から正しい情報を発信し、純粋にオススメのものを紹介できるよう、アフィリエイトを行っておりません。
購入いただいても、プレズ<Plez>に一切の利益が入らないようにしています。
7.3その他の器具
必須ではありませんが、あればベンチプレスに役立つアイテムです。
● リストフラップ付きトレーニンググローブ
リストフラップ付きトレーニンググローブは、グリップ力を高めるとともに、手首を保護できます。
グローブを選ぶときは、手首を固定できる「リストフラップ」付きのものがオススメです。
● トレーニングベルト
トレーニングベルトは、体幹を安定させる機能があります。
ただ、ベンチプレスはもともと体幹を安定させる重要性は低いので、トレーニングベルトの必要性は高くありません。
「ベンチプレスをとりあえずやってみる」という場合、トレーニングベルトは用意しなくても大丈夫です。
8.ベンチプレスのバリエーション
ベンチプレスは、フラットのバーベルベンチプレス以外にも、ベンチの角度、ウエイトの違いで色々なバリエーションがあります。
それぞれに特徴があるので、目的や好みに合わせて種目を選択しましょう。
8.1ウエイトの種類によるバリエーション
point
目的・好みによってウエイトの種類を選ぶ。
ウエイトの種類によってフォーム・効果が変わる。
ベンチプレスは、バーベル以外にも、ダンベル・スミスマシンで実践できます。
ダンベルベンチプレス
ダンベルは、バーベルと違い、軌道の制約がありません。
そのため、可動域を広く取って、フルレンジでトレーニングを行えます。
バーベルの場合、バーが胸に付く位置までしかウエイトを下ろせず、上げるときも大胸筋は完全には収縮しません。
ダンベルであれば、大胸筋が完全にストレッチする位置までウエイトを下ろし、完全に収縮する位置まで上げることが出来ます。
また、左右それぞれでウエイトを上げるので、「右側の筋肉ばかり使って、筋肉・筋力のバランスが悪くなる」ということもありません。
ダンベルは左右が独立している分、バーベルより不安定になるので、正しいフォームで行うのが少し難しくなります。
ダンベルベンチプレスでは、ダンベルの中心より少し内側を握ることで、ウエイトが安定し、大胸筋にも負荷を乗せやすくなります。
高重量でダンベルベンチプレスを行う場合、膝にダンベルを乗せた状態からベンチに仰向けになる、「オンザニー」というテクニックを使いましょう。
スミスマシンベンチプレス
スミスマシンとは、バーベルの上下の軌道が固定されているマシンです。
軌道が一直線に固定されているので、フォームが乱れにくいという利点があります。
一方で、体の動きとマシンの軌道が合わないこともあります。
スミスマシンは軌道が直線に固定されているため、ダンベル・バーベルのように、軌道を自由に調整することが出来ません。
スミスマシンの場合、筋肉の動きとマシンの軌道が一致するように、鎖骨あたりにバーベルが下りるようポジションを調整しましょう。
8.2ベンチの角度によるバリエーション
point
ベンチの角度によって、鍛えられる大胸筋の部位が変わる。
上部を鍛えたいならインクライン、下部を鍛えたいならデクラインを取り入れる。
ベンチプレスは、フラットベンチ以外に、インクライン・デクラインといった角度をつけたベンチで実践できます。
インクラインベンチプレスは、少し体を起こしたベンチを使います。
鎖骨あたりにバーを下ろし、直線上にウエイトを上げます。
インクラインでは、大胸筋の上部と肩の使用割合が増えます。
デクラインベンチプレスでは、インクラインとは逆に、脚を高く上げたベンチを使います。
みぞおちあたりにバーを下ろし、直線上にウエイトを上げます。
デクラインでは、大胸筋の下部の使用割合が増えます。
インクライン・デクラインを行う場合、専用のトレーニングベンチが必要です。
ラック付きのインクライン・デクラインベンチを置いているジムは多くないですが、角度を付けたベンチがあれば、ダンベル・スミスマシンで実践できます。
デクラインはベンチ自体も少ないので、大胸筋の下部を中心に鍛えるなら、ブリッジを少し強めにかけたフラットベンチプレスか、ディップス↓がオススメです。
9.重量の平均と日本・世界記録
9.1ベンチプレスの平均重量
経験のない人のベンチプレスの平均は、男性で体重の60%、女性で体重の45%ぐらいです。
平均体重を考慮して、男性で40kg、女性で20kgちょっとが平均です。
ベンチプレスのレベル別の目安がこちらです。
※体重に対する割合
初心者 | 中級者 | 上級者 | マスター |
---|---|---|---|
~1.2倍 | 1.2~1.5倍 | 1.5~1.8倍 | 1.8倍~ |
9.2ベンチプレスの最大重量換算
自分がベンチプレスで上げられる最大の重量を知りたい場合、直接測定しなくても、普段のトレーニングで扱っている重量・回数から推定する方法があります。
こちらの表が、最大重量の換算表です。
左の欄が扱っている重量、縦の欄が上げている回数、該当する箇所が最大重量の推定です。
ex.20kgを8回上げられた場合、最大重量の推定は25kg
上げた回数 | |||||||||
使用 重量 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
20 | 21 | 22 | 22 | 23 | 24 | 24 | 25 | 26 | 27 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 |
30 | 32 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 38 | 39 | 40 |
35 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 44 | 45 | 47 |
40 | 42 | 43 | 44 | 46 | 47 | 48 | 50 | 52 | 53 |
45 | 47 | 49 | 50 | 51 | 53 | 55 | 56 | 58 | 60 |
50 | 53 | 54 | 56 | 57 | 59 | 61 | 63 | 65 | 67 |
55 | 58 | 59 | 61 | 63 | 65 | 67 | 69 | 71 | 73 |
60 | 63 | 65 | 67 | 69 | 71 | 73 | 75 | 77 | 80 |
65 | 68 | 70 | 72 | 74 | 76 | 79 | 81 | 84 | 87 |
70 | 74 | 76 | 78 | 80 | 82 | 85 | 88 | 90 | 93 |
75 | 79 | 81 | 83 | 86 | 88 | 91 | 94 | 97 | 100 |
80 | 84 | 86 | 89 | 91 | 94 | 97 | 100 | 103 | 107 |
85 | 89 | 92 | 94 | 97 | 100 | 103 | 106 | 110 | 113 |
90 | 95 | 97 | 100 | 103 | 106 | 109 | 113 | 116 | 120 |
95 | 100 | 103 | 106 | 109 | 112 | 115 | 119 | 123 | 127 |
100 | 105 | 108 | 111 | 114 | 118 | 121 | 125 | 129 | 133 |
105 | 111 | 114 | 117 | 120 | 124 | 127 | 131 | 135 | 140 |
110 | 116 | 119 | 122 | 126 | 129 | 133 | 138 | 142 | 147 |
115 | 121 | 124 | 128 | 131 | 135 | 139 | 144 | 148 | 153 |
120 | 126 | 130 | 133 | 137 | 141 | 145 | 150 | 155 | 160 |
125 | 132 | 135 | 139 | 143 | 147 | 152 | 156 | 161 | 167 |
130 | 137 | 141 | 144 | 149 | 153 | 158 | 163 | 168 | 173 |
135 | 142 | 146 | 150 | 154 | 159 | 164 | 169 | 174 | 180 |
140 | 147 | 151 | 156 | 160 | 165 | 170 | 175 | 181 | 187 |
145 | 153 | 157 | 161 | 166 | 171 | 176 | 181 | 187 | 193 |
150 | 158 | 162 | 167 | 171 | 176 | 182 | 188 | 194 | 200 |
9.3ベンチプレスの日本記録・世界記録
ベンチプレスは、日本記録・世界記録とも、驚くべき記録が残されています。
ノーギア(ベンチシャツなし)の日本記録は、 2001年に氏家 一郎さんが43歳で上げた225kgです。
ギア有りの日本記録は、2016年に藤本竜希さんがわずか16歳で上げた、370kgです。
なんと、未成年の藤本さんが、成人男性5人分の体重より重いウエイトを上げています。
ノーギアの世界記録は、2015年にKirill Sarychev(ロシア)が27歳上げた、335kgです。
ギア有りの正解記録は、2008年にRyan Kennelly(アメリカ)が34歳で達成した、487.6 kgです。
非公式のものとしては、2013年にPaul Tiny Meeker(アメリカ)が42歳で達成した、なんと500kgという記録もあります。
医学的には、500kgの加重が人の骨の限界のようですが、その500kgをベンチプレスで上げてしまっています。
10. 100kgを上げるには
500kgという超人的な記録もありますが、ベンチプレスに励むときによく目標にされるのが、100kgです。
「ベンチプレスを100kg上げられる!」と言えるとカッコイイですね。
ただ、ベンチプレスで100kgを上げることを目標にするには、2つ注意点があります。
10.1ベンチプレスの目的と目安
point
多くの人にとって、重量はトレーニングの目的ではなく目安。
トレーニングの目的は、筋肉の成長・筋力の向上。
パワーリフティングなど、ベンチプレスの重量を競う種目のためにトレーニングをする場合、トレーニングの目的は重量を伸ばすことです。
一方、ボディメイクや筋力向上を目的にする場合、トレーニングの目的は重量を伸ばすことではありません。
筋肉の成長・筋力の向上です。
重量は筋肉・筋力の目安でしかありません。
重量にこだわり過ぎると、目的に合わないことを実践してしまう可能性があります。
例えば、大胸筋の中~上部を鍛えたいのに、重量を上げるために極端にブリッジを掛け、下部ばかり鍛えてしまうこともあります。
また、パワーリフティングのフォームをマスターすることによって重量が伸びても、筋肉・筋力の増加による影響だけではなく、上げるテクニックが向上した影響があります。
無理に重量を伸ばそうとするより、自分にあった重量を使って正しいフォームでトレーニングを行う方が、安全で効果を高められます。
重量を目的ではなく目安に使い、「筋肉の成長・筋力の向上があって、結果として目標のウエイトを達成できる」というのが理想的な形です。
10.2重量の意味
point
体重・体格によって、100kgの意味が変わる
100kgを目標にする上で、もう1つの注意点は、【ベンチプレス100kg】の意味が、体格・体重によって全く違うことです。
例えば、身長185cm・体重80kgの人なら、中級者ぐらいで100kgを上げられます。
一方、身長160cm・体重55kgの人が100kgを上げれば、かなりの上級者です。
ベンチプレスの重量は、重量そのものよりも、体重に対する割合を見る方が参考になるのです。
10.3 100kgを達成する目安
【ベンチプレス100kg】というのは、体格・体重によって意味合いが変わります。
また、多くの人にとって、重量はトレーニングの目的ではなく目安でしかありません。
それをしっかり理解していただいた上で、100kgを達成するための方法を紹介していきます。
まず、必要な期間の目安を把握しましょう。
体重によって、100kgを達成できるまでの期間は大きく変わります。
体重が80kgあれば、目安は半年~2年です。
もともと筋力が強かったり、遺伝的に筋肉が付きやすければ、すぐに上げられる可能性もあります。
体重が65kgなら、2年~5年ぐらいトレーニングを積む必要があります。
体重が50kgぐらいなら、100kgというのはかなりの重量です。
筋肉を付けて体重も増やし、5年~10年かけて、じっくり取り組みましょう。
10.4 筋力を高める方法
point
筋力を高めるには、トレーニングと食事が重要
筋力を上げるには、筋肉を付けることと、神経を発達させることの両方が重要です。
トレーニング開始時点で80kg~を上げられた場合、1ヶ月ぐらいトレーニングを行い、神経を発達させるだけで100kgを上げられる可能性があります。
現在扱える重量が~80kgの場合、100kgにたどり着く前に神経の発達が頭打ちになるので、筋肉をつけていく必要があります。
筋肉を付けるには、休息を挟みながらしっかりトレーニングを行い、タンパク質・カロリーを摂ることが必要です。
脂肪を増やしたくない場合は、脂肪と筋肉を付ける増量期と、筋肉をキープしながら体脂肪を落とす減量期を分けて実践しましょう。
増量期はしっかり食事を摂って摂取カロリー>消費カロリーの状態を作り、減量期は食事を管理(+有酸素運動)して摂取カロリー<消費カロリーの状態を作ります。
トレーニングを行うこととタンパク質の摂取は、増量期・減量期ともに行います。
増量期・減量期を分ける方が、脂肪を付けないように摂取カロリーを抑えてトレーニングを続けるより、効率的に筋肉を増やすことが出来ます。
10.5トレーニングのプログラム
point
決まったペース・内容のトレーニングを続け、筋力が伸びなくなってきたら、トレーニングのボリュームを増やす
トレーニングは内容やペースを頻繁にいじったりせず、決まった内容を実践しましょう。
種目を変えたり、フォームを変えたり、ペースを変えたりせずに、しっかりフォームをマスターした種目を1回4セット・週に2回行う方が、効果的に筋肉を鍛えられます。
(体調に合わせて少しペースを調整するのは大丈夫です)
トレーニングを初めてすぐは、筋力・筋肉量ともに伸びやすい時期です。
特に、初めの1ヶ月は神経が発達しやすく、トレーニングごとに重量が2.5kgずつ上がっていくことも珍しくありません。
その後は、トレーニングごとに拳上回数が1~2回伸びるというぐらいに、だんだん筋力の伸びが緩やかになっていきます。
神経の発達が頭打ちになることと、筋肉は大きくなるほど増えにくくなるからです。
しっかり休息を取りながらトレーニングを行い、カロリーとタンパク質を摂っても重量・回数が伸びなくなってきたら、トレーニング内容を変更する必要が出てきます。
その場合、少しボリュームを増やすようにしましょう。
補助種目を入れるか、セット数を増やして、合計6~8セットのトレーニングを行います。
補助種目を入れた場合、実践する種目は
・バーベルベンチプレス+ダンベルベンチプレス
・ベンチプレス+ダンベルフライ
・ベンチプレス+ディップス
といった具合です。
ボリュームを増やす分、疲労も増えるので、トレーニングペースを少し落とした方がよい場合もあります。
疲労が回復しているか判断する基準は、「前回のトレーニングより回数・重量が落ちていないか」ということです。
また、ベンチプレスだけをずっと行い続けると、筋肉のバランスが悪くなってしまいます。
背中・上腕二頭筋といった「引く筋肉」を鍛える懸垂・ラットプルダウン・ベントオーバーローイング、下半身を鍛えるスクワット・レッグプレスなども行いましょう。
効果的なトレーニングプログラムを実践していけば、筋肉・筋力はしっかり伸びていき、扱える重量も上がっていきます。
ポイントを押さえて効果的なベンチプレスを実践し、目標を達成しましょう!
11.ベンチプレスまとめ
いかがでしたでしょうか?
ベンチプレスは上半身の筋肉を鍛えるのに非常に効果的な種目です。
カッコイイ体・健康な体を作るにも、競技のパフォーマンスを高めるにも、オススメのトレーニングです。
ポイントを押さえて、正しいフォーム・やり方でベンチプレスを行えば、筋肉はしっかり成長して、筋力も向上していきます。
効果的なベンチプレスを実践して、理想の筋肉を手に入れましょう!