スクワットは非常にポピュラーなトレーニング種目で、ほとんどの人が一度は実践したことがあると思います。
スクワットは【キング・オブ・エクササイズ】とも言われ、人気も効果も高いトレーニングです。
実際、アスリートや筋肉質な体の人はほぼ全員、スクワットを行っています。
しかし、スクワットは、ただ行うだけでは効果の高いトレーニングをできません。
効果を高める7つのポイントがあり、これを全て抑えられている人はトレーナーにも多くはいません。
やり方を間違えて、「全く効果が無い!」となったり、「ヒザを痛めてしまった・・・」となるのは悲しいものだと思います。
そこで、プレズ<Plez>のコンサルタントが、効果的で正しいスクワットのやり方を徹底解説します!
この記事を読んでいただくと、スクワットのポイント・正しいやり方が分かり、効果的なトレーニングを実践できるようになります!
この記事は、科学的な知見と医師やトレーナーへの指導経験も持つ、プレズ<Plez>のコンサルタントが作成しました。
(ダイエットの結果には個人差があります)
1.スクワットとは
スクワット(squat)とは、ヒザと股関節を曲げて腰を落とした状態から、下半身の力で立ち上がるウエイトトレーニングです。
ベンチプレス・デッドリフトとともに、スクワットはウエイトトレーニングのBIG3に数えられ、人気も効果も高い種目です。
特に、バーベルなどで加重して行うスクワットは、下半身の筋肉を鍛えるための最高のトレーニングができます。
スクワットで鍛えられる筋肉
メインで鍛えられる筋肉
大腿四頭筋
他に鍛えられる筋肉
ハムストリング
大臀筋
やり方によって鍛えられる筋肉
● 加重した場合
脊柱起立筋
腹筋
● つま先重心の場合
ふくらはぎ
基本的なスクワットのやり方
まずはスクワットの基本的なやり方を紹介します。
基本的なフォームは大丈夫であれば、2.スクワットの効果 にお進みください。
自重スクワットのやり方
自重スクワットとは、ウエイトを使わず、自分の体重を負荷に使うオーソドックスなスクワットです。
1:足を肩幅に開いて立ちます
2:腕は胸や頭に当てるか、自然に垂らしておきます。
(腕を前に出すと、脚より先に、肩・腕が限界に来ることがあります)
3:お尻を後ろに引きながら、ヒザを曲げて腰を落としていきます。
同時に、息を吸っていきます
4:十分腰を落としたら、ヒザを伸ばす力・股関節を起こす力で体を上げていきます。
息を吐きながら体を上げるか、息を止めて体を上げます
5:完全に立ち上がる所まで体を上げ、息を吐きます
6:3~5を繰り返す
● フォームの参考動画
バーベルスクワットのやり方
バーベルを担ぎ、負荷を高めたスクワットの、基本的なやり方を紹介します。
下半身を鍛えるには最高のトレーニングが出来ます。
バーベルスクワットでは、ラックを使用します。
1:ラックにバーベルをセットし、プレートを付けます。
潰れたときのためにセーフティバーをセットしておきます。
2:肩甲骨を寄せて、盛り上がった僧帽筋にバーを乗せます。
3:バーを乗せた個所が痛い場合、バーにパッドを付けましょう。
ジムには普通、備え付けのパッドがあります。
4:バーを担いで、少し後ろに下がり、足を肩幅に開きます
5:お尻を引いて上体を倒しながら、ヒザを曲げて腰を落とします。
同時に、息を吸って腹圧を高めます。
(腹圧のかけ方は、3.6背骨の負担を減らす で詳しく紹介)
6:息を止め、腹圧を保ったまま体を上げていきます
7:完全に立ち上がり、息を吐きます
8:5~7を繰り返す
9:トレーニングが終わったら、ラックにバーベルを戻します
● フォームの参考動画
2.スクワットの効果
スクワットの効果を高める7つのポイントを解説する前に、あなたは、どのような効果を期待してスクワットを実践している・しようとしていますか?
スクワットは非常に効果的なトレーニングですが、そもそも得られない効果を期待して、「やっても効果が無い・・・」と落ち込んでしまうこともあります。
目的に合わせて、確実にトレーニング効果を得られるように、具体的なスクワットの効果を紹介します!
2.1ボディメイク効果
スクワットを実践する目的としては、「カッコイイ体・キレイな体を作るため」という人が多いと思います。
スクワットは、筋肉を付けてスタイルを作るには非常に効果的なトレーニングです。
下半身の筋肉を鍛えるにはベストの種目で、鍛えられる筋肉の数も、デッドリフトの次に多いトレーニングです。
筋肉によってキレイな体・カッコイイ体を作るには、男女ともにオススメのトレーニングです。
2.2ダイエット効果
point
スクワットにダイエット・引き締め効果はほとんどない
スクワットは、筋肉を付けて体のラインを作るために実践する
筋肉をつけてカッコイイ体・キレイな体を作るのに、スクワットは効果的です。
しかし、ダイエットのためにスクワットを行わなくて大丈夫です。
むしろ、スクワットで痩せようとすると、ほぼ100%ダイエットは失敗します。
スクワットに体脂肪を落とす効果はほとんどないからです。
実は、運動による消費カロリーも基礎代謝もそれほど上がらず、脚痩せ効果もないのです。
運動の消費カロリーは、メッツという運動の強度をあらわす数値を使って、目安を把握できます。
● 消費カロリー(kcal)=体重(kg)×(メッツ-1)×時間(h)
スクワットのメッツは5ぐらいなので、体重50kgの人が1分間で消費するカロリーはたった4kcal程度です。
科学的に検証すると、スクワットを1分やっても、体脂肪は0.1gも減らないことが分かります。
1日30分行っても、脂肪を1kg減らすだけで2~4か月ぐらいかかってしまい、痩せたことに気づいてもらうには半年~1年もかかります。
これでは、モチベーションも続かず、途中で挫折してダイエットは失敗に終わります。
【スクワット15回=腹筋500回のダイエット効果】と言われたりしますが、実際は【スクワット15回=腹筋25回程度のダイエット効果】なのです。
また、筋肉をやっと1kgつけても、基礎代謝は10~30kcal/日しか増えません。
さらに、体脂肪は全身まんべんなく使われるので、スクワットに脚やせ効果はありません。
プレズ<Plez>のダイエット指導でも、指導前のカウンセリングで、「スクワットをしているのに脚が細くなりません!」という相談をたびたびお受けします。
スクワットは、あくまでも、筋肉によってボディメイクをするために実践しましょう。
男性がたくましい脚を作ったり、女性が健康的でスラッとした脚や丸くてハリのあるお尻を手に入れるのに、スクワットは非常に効果的な種目です。
スクワットのダイエット効果の詳しい説明と、効果的に痩せる方法は、こちらで紹介しています。
2.3競技のパフォーマンス向上効果
競技のパフォーマンスを高める上で、スクワットは非常に効果的です。
走る・ジャンプという動作を初め、ラケットや野球・ゴルフのスイング、ボールを投げる時にも、下半身の力を使います。
競技で下半身を使わない動作はほとんどなく、スクワットでパフォーマンスの上がらない競技は無いといっても過言ではありません。
スクワットは特に、走る・跳ぶといった、前方向・上方向に発揮する筋力を高めるのに効果的です。
そして、やり方によって、パワーや瞬発力、筋肉の持久力を高められます。
競技の特性に合わせて、パワーや持久力を向上させるやり方は、3.7目的別のスクワットのやり方で詳しく解説します!
2.4健康促進効果
健康な体を作る上でも、スクワットは効果的です。
スクワットは脚・腰を鍛えるのにベストの運動です。
脚・腰の筋肉は、歩く・自転車をこぐ・階段を上る・立ち仕事など、日常の動作でもよく使います。
その筋力が衰えると、すぐに疲れてしまったり、階段の上り下りがツラかったり、日常生活に支障が出てしまいます。
また、筋力の低下によって、老後に歩けなくなることもあります。
スクワットで脚・腰を鍛えて筋力を保っておけば、日常の動作も快適におこなえ、元気でハリのある生活を送れます。
筋力を保ち、健康な体・丈夫な脚腰を作るにも、スクワットは非常に効果的です。
3.効果を高める7つのポイント
トレーニング効果を高めるにもケガを防ぐにも、スクワットで最も重要なのは、ポイントを押さえた正しいフォームです。
誰でも一度はスクワットをやったことがあると思いますが、実際のところ、効果的な方法はあまり知られていないものです。
スクワットには7つのポイントがあり、これを押さえれば、誰でも効果的なスクワットを実践できるようになります。
ぜひ繰り返し7つのポイントをご覧いただき、効果的な正しいトレーニングを実践しましょう!
3.1深く腰を落として可動域を広げる
point
筋肉を付ける効果を高めるために、腰を深く落として可動域を広げる
スクワットのトレーニング効果を高めるポイントは、腰を深く落とし、ヒザ・股関節の可動域を広くとることです。
可動域を広げることで、筋肉を付ける効果を高められます。
深さの目安として、太ももが地面と平行になるよりも深く腰を落としましょう。
ボディビルダーに深いスクワットをする人が多い理由も、筋肉を付ける効果が高いからです。
実際に、ヒザの角度を0~60°と可動域を狭めた場合と、0~120°と可動域を広げた場合で、スクワットの効果を比較した実験があります。
Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations.
こちらの実験でも、可動域を広げた方は約3か月で4~7%筋肉が成長し、効果が高いことが証明されています。
筋肉を付ける目的でスクワットを行う時は、深く腰を落とし、完全に立ち上がるまで体を上げましょう。
3.2ヒザを正しい位置にコントロールする
point
ヒザの負担を軽減するために、つま先とヒザの向きを合わせる
バランスよく筋肉を鍛えるために、お尻を後ろに引きながら腰を落とす
スクワットを正しいフォームで行うコツは、ヒザの位置のコントロールにあります。
バランスよく筋肉を鍛えるためにも、ケガを防ぐためにも、ヒザを正しい位置にコントロールしましょう。
ヒザとつま先の向き
ヒザの負担を減らすために、ヒザの向きとつま先の向きを合わせるようにしましょう。
ヒザとつま先の向きを合わせ、その方向にヒザを曲げていきます。
ヒザとつま先の向きがズレていると、ヒザに負担がかかり、ケガの原因になります。
股関節~つま先まで、脚を一直線に保っておくと、負荷が全体に分散され、ケガのリスクを低減できます。
つま先とヒザを外に向け、足を開くフォームはOKです。
お尻を引き、バランスよく筋肉を鍛える
バランスよく筋肉を鍛えるには、お尻を後ろに引き、ヒザをあまり前に出さずに腰を落とすようにしましょう。
ヒザが前に出ると、ヒザの可動域は広がりますが、股関節の可動域が狭まってしまいます。
そうすると、ヒザを伸ばす大腿四頭筋の使用は増える一方、股関節を起こすハムストリング・大臀筋の使用が減ってしまいます。
大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋をバランスよく鍛えるには、お尻を後ろに引きながら腰を落とし、股関節の可動域も広げましょう。
ケガを防ぐためにヒザを出さない
ケガを防ぐためにも、ヒザはあまり前に出さないようにしましょう。
ヒザの関節は、大腿四頭筋が収縮し、ヒザの皿(膝蓋骨)が関節を押さえつけることで伸びていきます。
そして、ヒザが大きく前に出ていると、ウエイトの負荷によって、ヒザが前に出ようとする逆方向の力もかかってしまいます。
ヒザの皿が関節を押す力に加えて、逆方向の負荷も加わることで、関節の圧力が増えてしまいます。
そこで、ヒザがあまり前に出ないように、お尻を引いて腰を落としましょう。
そうすると、ヒザが前に出ようとする力がかからず、ヒザの負担を軽減できます。
「ヒザを1cmも出してはいけない」ということはありませんが、関節の負担を減らすために、前に出すぎないよう注意しましょう。
3.3バランスよく筋肉を使う
point
下半身の筋肉をバランスよく鍛えるには、お尻を後ろに引くように腰を落とす
上半身と下半身の筋肉をバランスよく鍛えるには、バーベルなどで加重する
カッコイイ体・キレイな体を作るためには、バランスよく筋肉を付けることが大事です。
競技でも、必要な筋肉をバランスよく鍛え、上手く筋力を発揮できるようにすることが重要です。
バランスよく筋肉を使うポイントの1つは、3.2で紹介したように、お尻を後ろに引きながら腰を落とすことです。
お尻を引き、股関節の可動域を広げることで、大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋をバランスよく鍛えられます。
そして、ウエイトを使うことで、下半身だけでなく体幹の筋肉もバランスよく鍛えられます。
バーベルを担いだり、ダンベルを持ってスクワットを行うことで、上体を支えるために脊柱起立筋や腹筋も使うようになります。
体を上げるときは、大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋・脊柱起立筋、全ての力を使いましょう。
筋肉の働きを理解して意識し、全ての筋肉を使って体を上げることで、バランスよく筋肉を鍛えられます。
● 大腿四頭筋:ヒザを伸ばす
● ハムストリング・大臀筋:股関節を起こす
● 脊柱起立筋:上体を起こす
3.4負荷を上げて効果を高める
point
トレーニング効果を高めるために、ウエイトを使ったり負荷を高めるフォームを取り入れて、しっかり筋肉を使う
スクワットの効果を高めるには、しっかり筋肉に負荷をかけましょう。
普通のフォームの自重スクワットだと、負荷が軽すぎることがほとんどです。
軽い負荷でも、しっかり筋肉を使い切れば筋肉は成長しますが、そのためには何十回・何百回という回数が必要になってしまいます。
負荷を高めたトレーニングの方が、実際にはラクに筋肉を使い切れて、効果的なトレーニングを実践できるのです。
負荷を高める方法
筋肉の負荷を高めるには、2つの方法があります。
● ウエイトを使う
● 負荷を高めるフォームを取り入れる
バーベル・ダンベルなどのウエイトを使うと、簡単に負荷を高められ、上半身の筋肉もバランスよく鍛えられます。
家トレでウエイトが無い場合などは、負荷を高めるフォームを取り入れましょう。
4.スクワットのやり方22種類 でスクワットのバリエーションを紹介し、中には、自重の家トレでもしっかり負荷をかけられるフォームがあります。
その中でも、自重のトレーニングならブルガリアンスクワット 、さらに負荷を高めるならピストルスクワット がオススメです!
3.5脚を鍛えるために腰を浮かさない
point
下半身の筋肉をしっかり鍛えるには、腰を浮かさずに体を上げていく
スクワットをしている人の中には、「腰を浮かして体を上げる」フォームの人を目にします。
「腰を浮かす」とは、上体を起こさずに腰を上げてヒザを伸ばし、それから上体を起こしていくフォームです。
腰を浮かす場合、大腿四頭筋の負荷が減り、その分脊柱起立筋の負荷が増えます。
特に、ウエイトを使ったスクワットで、筋肉の使い方が顕著に変わります。
脊柱起立筋を鍛えたい場合、こちらのスクワットは適しています。
しかし、下半身、特に大腿四頭筋があまり鍛えられなくなってしまいます。
また、競技ではこのような動きをほとんど使わないため、パフォーマンス向上にもあまり適していません。
バランスよく筋肉を鍛えるには、腰を浮かさず、ヒザの伸ばす力・上体を起こす力をバランスよく使うようにしましょう。
3.6背骨の負担を減らす
point
背骨を痛めないために、背中に自然なアーチを作る
あわせて、腹圧をかけることによって、背骨ではなく筋肉で上体を支える
バーベル・ダンベルを使う場合、背骨が上体を支えようとして、負担がかかります。
負荷を上手く分散できず、背骨の1点に負荷が集中すると、背骨を傷める原因になってしまいます。
そこで、背骨の負担を和らげるために重要なのが、この2つです。
● 背中にアーチを作る
● 腹圧をかける
背中にアーチを作る
背中が猫背になって丸まっていると、背骨の一点に負荷が集中してしまいます。
背中に自然なアーチを作ることで、負荷が背骨全体に分散され、ケガのリスクを軽減できます。
背中のアーチを作るには、胸を張って背筋をのばしている時の上半身の姿勢を、全てのポジションでキープするイメージです。
腰を落とす時は、お尻を少し後ろに突き出すと、アーチを作りやすくなります。
腹圧をかける
「腹圧」とは、お腹内部の空気が、周りの筋肉にかける圧力のことです。
お腹の中は、横隔膜・腹筋・背筋・骨盤底筋といった筋肉が、空気を密閉しています。
そして、腹式呼吸で息を吸って横隔膜を下げ、お腹まわりの筋肉で空気の圧力を支えると、腹圧が高まります。
上手く腹圧がかかると、筋肉や腹圧が上体を支える働きをして、背骨の負荷を軽減できます。
スクワットでは、腰を下ろす時に息を吸い、腹圧を高めます。
そして、息を止めて腹圧を保ったまま体を上げ、完全に立ち上がったら息を吐きます。
腹圧のかけ方は、トレーニングベルトを使う場合・使わない場合で大きく変わります。
トレーニングベルトを使う場合、腹式呼吸で息を吸ってお腹を膨らませると、ベルトが圧力を受け止めて腹圧がかかります。
ベルトを使わない場合、腹筋・背筋に力をいれたまま腹式呼吸で息を吸うことで、膨らもうとするお腹を筋肉が押さえつけ、腹圧が高まります。
腹圧のかけ方は、こちらのデッドリフトの効果的な実践方法~3.4腹圧をかける~で詳しく紹介しています。
特に、加重したスクワットを行う方は、ぜひご覧ください!
3.7目的別のスクワットのやり方
point
ボディメイク用のスクワットは、かかと重心で腰を深く落とすようにして、可動域を広げる
競技用のスクワットは、競技の特性に応じて、筋肉のパワーや持久力を伸ばす
スクワットは、目的によって効果的なやり方が違います。
特に、ボディメイクと競技のパフォーマンス向上では、効果的な実践方法がかなり変わります。
期待通りの効果を得られるように、それぞれの目的に合わせた実践方法を紹介します!
ボディメイク用のスクワット
筋肉を付ける目的でスクワットを行う場合、3.1深く腰を落として可動域を広げる で紹介したように、深く腰を落とすスクワットが効果的です。
可動域を広げることで、筋肉を付ける効果が高まります。
健康のためにスクワットを実践する場合も、ボディメイク目的と同じやり方が効果的です。
深く腰を落とすには、つま先よりも、かかとに重心を置きましょう。
かかと重心にすることで、お尻を後ろに引きやすく、深く腰を落とせます。
ボディメイク用のスクワットは、初めの内は、8回ぐらいが限界の負荷で4セット、週に2回のトレーニングが効果的です。
レベルによってはさらにボリュームが必要になので、セット数を増やしたり、別のバリエーションやレッグプレスをプラスするなど、プログラムを調整しましょう。
また、デッドリフトなど、スクワットと使う筋肉が重複する種目との兼ね合いも考えて、プログラムを調整しましょう。
競技用のスクワット
競技目的の場合、トレーニングの目的は、筋肉の能力を高めることです。
競技のパフォーマンスのためのトレーニングでは、競技の特性に応じて、筋力や筋持久力を高めることが重要です。
筋力は筋肉が発揮するパワー、筋持久力は筋力を継続して発揮できる持続力です。
例えば、スプリントでは筋力、長距離走では筋持久力が重要です。
また、サッカー・テニス・バスケットボールなど、多くのスポーツでは、筋力と筋持久力の両方が必要です。
競技の特性に合わせて、スクワットで必要な能力を鍛えましょう。
筋力を高めるスクワット
筋力を高めるには、
● 筋肉を大きくする
● 神経を発達させて、発揮する筋力を100%に近づける
この2つが重要です。
神経を発達させるには、2~3回しか上げられない高負荷が適しています。
1回がギリギリの負荷も効果的ですが、スクワットは体の負担が大きく、ギリギリの負荷ではケガのリスクも高まります。
そのため、確実に2~3回は上がる負荷がオススメです。
筋力を上げる場合は、神経の発達と筋肉の成長の両方を考慮して、こちらのプログラムが効果的です。
● 1セット目:2~3回が限界の高負荷
● 2~4セット目:8回上がる負荷
筋持久力を高めるスクワット
筋持久力を高めるには、筋肉周りの毛細血管を発達させることが重要です。
そのためには、30~50回出来るような低負荷で高回数のトレーニングを行いましょう。
筋力と筋持久力の両方を高める場合、こちらのプログラムが効果的です。
● 1セット目:2~3回が限界の高負荷
● 2セット目:8回上がる負荷
● 3・4セット目:30~50回出来る低負荷
競技目的の場合、競技の練習でも筋肉を使うので、普段の練習量や筋力のレベルを考慮して、プログラムを調整しましょう。
競技の動作とスクワット
ウエイトトレーニングは、トレーニングと同じ動きで発揮する筋力を高める傾向にあります。
そのため、競技の動きと似たフォームで筋肉を鍛えることが効果的です。
競技目的の場合、ほとんどの動作がつま先重心のため、つま先に重心を置きましょう。
そして、走る・跳ぶなどのように、競技ではヒザを浅く曲げた状態で力を発揮することがほとんどです。
そのため、ボディメイク用より浅い、クォータースクワット やハーフスクワット が効果的です。
また、瞬発力を高めるには、ジャンプスクワット も効果的です。
このように、目的によって、効果的なスクワットのやり方は変わってきます。
最適のトレーニング効果を得るには、目的に合ったフォームを取り入れることが大事です。
そこで、目的や環境に合わせて効果的なトレーニングを実践できるように、スクワットのバリエーション22種類を紹介していきます!
4.スクワットのやり方22種類
スクワットは、フォームやウエイトの違いにより、22種類のバリエーションがあります。
バリエーションによって、効果の特徴や鍛えられる筋肉に違いがあります。
それぞれのバリエーションのやり方・特徴を解説していきますので、目的に合わせて、最適なスクワットを実践しましょう!
クォータースクワット
クォータースクワットとは、ヒザを45°ぐらいしか曲げない、浅いスクワットです。
負荷が小さくなる分、加重する場合は高重量を扱えます。
筋肉をつける効果は低い一方、動きが実際の動作に近いため、競技目的にオススメです。
ハーフスクワット
ハーフスクワットとは、ヒザを90°ぐらいに曲げるスクワットです。
太ももが地面と平行になるより、少し浅いぐらいが目安です。
ハーフスクワットは、ラグビー・相撲など、足を深く曲げた状態での動作が多い競技にオススメです。
パラレルスクワット
パラレルスクワットとは、太ももが地面と平行になるまで腰を落とすスクワットです。
クォーター・ハーフより筋肉を付ける効果が高く、ボディメイク目的でオススメです。
フルスクワット
フルスクワットとは、太ももが地面と平行になるよりも深く腰を落とすスクワットです。
筋肉を付ける効果が高いので、ボディメイク目的に最もオススメのフォームです。
正しいフォームで行うのが少し難しいので、しっかりフォームをマスターして実践しましょう。
フルボトムスクワット
フルボトムスクワットとは、完全にしゃがみこむまで腰を落とすスクワットです。
筋肉を付ける効果が高い一方、背中のアーチを維持しにくくなります。
正しいフォームで実践できるならオススメですが、体への負担が増えることも多いので、一般的には【フルボトム】より【フル】の方がオススメです。
こちらが、ヒザの角度によるバリエーション一覧です。
バーベルスクワット
バーベルスクワットとは、バーベルで加重して行うスクワットです。
ウエイトを使うスクワットとしては、一番ポピュラーで効果も高い種目です。
安定して加重ができ、上半身もバランスよく鍛えられます。
ラックが無い環境で、バーベルを使って下半身を鍛える場合、後述のバーベルハックスクワットや、別記事のスモウデッドリフト がオススメです。
フロントスクワット
フロントスクワットとは、バーベルを肩に乗せて行うスクワットです。
体の前方でバーベルを持つので、「フロント」スクワットといいます。
フロントスクワットはあまり上体を倒さず、股関節の可動が減るため、ヒザの稼働が増えて大腿四頭筋を集中的に鍛えられます。
肩の筋肉にバーベルを乗せ、手でバーを支えることで、ウエイトが安定します。
フロントスクワットの場合、深く腰を落とそうとすると、ヒザが大きく前に出て関節の負担が増えてしまいます。
そこで、つま先を少し外に向けて立ち、腰を落とす時に脚を開くようにしましょう。
バーベルハックスクワット
バーベルハックスクワットとは、バーベルを体の後ろで持ち、立ち上がるトレーニングです。
デッドリフトに似た種目ですが、デッドリフトよりヒザの稼働域が広がり、大腿四頭筋の使用が増えます。
バーベルハックスクワットは、ラックがない環境でオススメのトレーニングです。
ダンベルスクワット
ダンベルスクワットとは、ダンベルを両手に持ち、加重して行うスクワットです。
バーベルやラックが無い場合にオススメのトレーニングです。
ダンベルセットを用意しておけば、効果的な家トレを行うことも出来ます。
脚を開きすぎると、ダンベルが足に引っかかってしまうので、脚は~肩幅ぐらいに開きましょう。
ダンベルを体の前に下ろすと、デッドリフトのフォームになり、大腿四頭筋よりも脊柱起立筋・大臀筋・ハムストリングのトレーニングになります。
下半身、特に大腿四頭筋を鍛える場合、ダンベルを体の横に下ろし、ヒザをしっかり曲げるようにしましょう。
ゴブレットスクワット
ゴブレットスクワットとは、胸の前でダンベルを持って行うスクワットです。
通常のダンベルスクワットよりウエイトが安定しやすいというメリットがあります。
その一方で、あまり重いウエイトを持てないので、初心者向きのバリエーションです。
スミスマシンスクワット
スミスマシンスクワットとは、軌道を上下に固定したスミスマシンで行うスクワットです。
軌道が安定しているので、バーベルを直線上に上げる感覚を養いやすいトレーニングです。
体の動きとマシンの軌道が若干合わない部分があるので、使用重量が減ることもあります。
上げられずに潰れてしまった時のために、トレーニングを始める前に、スミスマシンにストッパーをセットしておきましょう。
足を付く位置を体の前に出しておくと、股関節の稼働が減って、大腿四頭筋の負荷が増えます。
チューブスクワット
チューブスクワットとは、チューブの弾力で負荷を高めたスクワットです。
両手でチューブを持ち、足で踏んで固定した状態でスクワットを行うことで、チューブの弾力が抵抗力になって負荷が上がります。
チューブは負荷が弱いため、初心者向けのトレーニングです。
バランスボールスクワット
バランスボールスクワットとは、背中と壁の間にバランスボールを挟んで行うスクワットです。
足を付く位置が体の前になるため、股関節の動きが減り、大腿四頭筋の負荷が増えます。
ただ、全体としては負荷が小さいので、初心者向けのトレーニングです。
マシンハックスクワット
マシンハックスクワットとは、下半身の力でマシンを押し上げる、大腿四頭筋への負荷が大きいスクワットです。
マシンの軌道に比べて、足を付く位置が前に出るため、股関節の稼働が減って大腿四頭筋を集中的に鍛えられます。
足を付く位置を前に出すほど大腿四頭筋の負荷が増え、足を付く位置を後ろに下げると、ハムストリング・大臀筋の負荷が増えます。
ワイドスタンススクワット
ワイドスタンススクワットとは、足を大きく開いて行うスクワットです。
ハムストリングの負荷が少し減り、内転筋・大臀筋の負荷が増えます。
内転筋とは、ふとももの内側の筋肉です。
内転筋を集中的に鍛えたいかどうかが、ノーマルスタンスかワイドスタンスかを決めるポイントです。
ワイドスタンスでは、ヒザとつま先の向きが合うように、つま先を外に向けておきましょう。
ナロースタンススクワット
ナロースタンススクワットとは、足幅を肩幅より狭くして行うスクワットです。
内転筋の使用が減り、大腿四頭筋・ハムストリングの使用が少し増えます。
ナロースタンスは、体が少し安定しづらくなります。
ヒンズースクワット
ヒンズースクワットとは、腕の反動を使ったスクワットです。
プロレスラーが行うスクワットとして有名で、部活などでもよく行われます。
腕の反動を利用するため、筋肉への負荷がかなり低く、初心者向けのバリエーションです。
普通のスクワットでも負荷が大きい場合、ヒンズースクワットから始めてみましょう。
ジャンプスクワット
ジャンプスクワットとは、体を上げていき、立ち上がる時に跳び上がるスクワットです。
ジャンプの際にふくらはぎを使うため、普通のスクワットよりもふくらはぎを鍛えられます。
また、筋肉の連動や瞬発力を鍛えられるので、競技目的にオススメです。
特に、バーベルを担いだ状態で行えば、瞬発力・ジャンプ力を高めるのに非常に効果的なトレーニングができます。
加重したジャンプスクワットは、着地の際に体に負担がかかりますので、しっかり背中のアーチを保ち、ヒザのクッションを使いましょう。
また、ウエイトを落としたり、体勢を崩したりしないように、しっかりコントロールできる重量を使いましょう。
シシースクワット
シシースクワットとは、股関節を伸ばしたまま、ヒザを曲げて上体を後ろに倒し、ヒザを伸ばす力のみで立ち上がるスクワットです。
ハムストリング・大臀筋を使わず、ヒザを伸ばす力のみを使うため、大腿四頭筋を集中的に鍛えられます。
自重でもかなり負荷を高められますが、鍛えられる筋肉が少ないため、下半身を全体的に鍛えたい場合は通常のスクワットがオススメです。
シシースクワットはバランスが難しいので、壁などに片手をついて行うのがオススメです。
スプリットスクワット
スプリットスクワットとは、足を前後に開いて行うスクワットです。
後ろに引いた足があまり筋力を発揮しないので、自重でも負荷を高められます。
ウエイトが無い環境での家トレにオススメのトレーニングです。
ランジという、一歩前に踏み出し、蹴り出す力で元の状態に戻るトレーニングに似ています。
スプリットスクワットの方が大腿四頭筋の負荷が大きく、ランジの方がハムストリング・大臀筋の負荷が大きくなります。
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットとは、片方の足を台などに乗せて行うスクワットです。
スプリットスクワット以上に負荷を高められ、女性はもちろん、初~中級者の男性でもウエイトなしで効果的なトレーニングをできます。
ウエイトなしの家トレで最もオススメのバリエーションです。
ピストル(片足)スクワット
ピストルスクワットとは、片足を上げた状態のまま、もう片方の足で行うスクワットです。
自重の中では最も負荷を高められます。
中級者の男性でも、初めて行うと、1回も出来ないことがあります。
筋力が強い人が、ウエイトがない状況でスクワットを行う時にオススメのバリエーションです。
こちらのピストルスクワットや、ブルガリアンスクワットなどで負荷を高めれば、ウエイト無しの家トレでも効果的なトレーニングを実践できます。
ウエイトや負荷を高めるフォームを使って、効果的なトレーニングを行えば、筋肉はしっかり成長していきます。
目的にあったバリエーションを取り入れて、ポイントを押さえたスクワットを実践し、効果的なトレーニングを実践しましょう!
5.スクワットまとめ
いかがでしたでしょうか?
スクワットは非常にトレーニング効果が高く、ボディメイク・競技のパフォーマンス向上・健康促進と、様々な目的に適した種目です。
ポイントを押さえて正しいスクワットを行えば、しっかり筋肉は成長し、筋力も向上していきます。
ぜひこの記事で紹介したポイントを繰り返し参照していただき、正しいフォームで効果的なスクワットを実践しましょう!