ファスティング(断食)ダイエットは、芸能人やモデルにも取り入れている方がいて、人気のダイエット方法となっています。
しかし、ファスティングもやり方を間違えると、ツラいだけで、あまりカラダが変わらずに終わってしまいます。
努力やお金をムダにしないように、正しいファスティングのやり方を身につけて、確実にカラダを変えましょう!
この記事は、科学的な知見とトレーナーや医師への指導経験も持つ、プレズ<Plez>のコンサルタントが作成しました。
(ダイエットの結果には個人差があります)
1.ファスティングダイエットとは
ファスティングとは、断食を行うダイエットです。
一定期間、水や野菜スープなどで過ごし、食事をほとんど摂らないダイエットです。
しばらく食事を摂らないことによって、いろいろな健康・ダイエットがあると言われます。
1.1一般的なファスティングのやり方
一般的に紹介されるファスティングのやり方は、このようなものです。
● 始めるに前に、1日~数日の【準備】期間を設ける。
● ファスティングを実践する。
● 終了後は、すぐに普通の食事に戻すのではなく、1日~数日の【復食】を行う。
【準備】では、野菜や豆・海藻など採食を中心にして、食べ過ぎないようにすると言われます。
ファスティング中は、水や酵素ドリンク、野菜スープなど、飲み物や軽い食べ物がススメられます。
そして、終了後もすぐに普通の食事に戻さず、食べ過ぎを避けて、消化の良いもを食べる【復食】をすると言われます。
こちらが一般的に説明されるやり方ですが、ファスティングのやり方や効果については、間違っているものが多くあります。
ファスティングはブームとなって実践している人も多い一方、正しい情報はなかなか流れていない状況です。
1.2間違いだらけのファスティング
ファスティングの効果については、いろいろな情報があります。
脂肪燃焼モードになる、デトックス効果がある、酵素により代謝が促進されるなど・・・
しかし、ファスティングについては、サービスや商品を売るための過剰な効果が謳われています。
間違った情報を信じてしまうと、必要のない商品を買ってしまったり、ムダにツライことを実践してしまいます。
正しい知識を身につければ、間違った情報に騙されず、もっとラクにダイエットができるようになります。
お金と努力を無駄にせず、健康的にカラダを変えられるように、本当に正しい情報を紹介します。
2.ファスティングダイエットの真偽
ファスティングについて、よく目にする情報の真偽をQ&Aで紹介していきます。
7問ありますので、ぜひ答えを考えてみてください。
Q1.体重が落ちやすい?
ファスティングでは、数日でかなり体重が落ちるという情報がよくあります。
本当に、ファスティングは体重が落ちやすいダイエットなのでしょうか?
正解は○です。
ファスティングは、全てのダイエット方法の中でも、トップクラスに体重が落ちやすいダイエットです。
2~3日で、体重が3~4kg落ちることもよくあります。
Q2.脂肪燃焼のスイッチが入り、痩せやすい体になる?
ファスティングでは、一定期間カロリーを抑えることで、体が脂肪燃焼モードになると言われます。
ファスティングをすると、痩せやすい体になるのでしょうか?
正解は×です。
ファスティングには、特別なダイエット効果はありません。
ファスティングのダイエット効果
ファスティングで体脂肪が減るのは、食事で摂るカロリーが少なくなるからです。
それ以外に、特別なダイエット効果はありません。
普段2,000kcal摂っていた場合、ファスティングを2日行うと、摂取カロリーを4,000kcal減らすことができます。
一方、1,000kcalを4日間にしても、同様に摂取カロリーを4,000kcal減らせます。
この場合、ダイエット効果はほとんど同じです。
ファスティングには、摂取カロリーが減る以上の効果はありません。
多くのダイエット方法には、商品やサービスを売るために過剰な効果が謳われますので、注意しましょう。
ダイエットの本質は、摂取カロリー<消費カロリーにすることです。
摂取カロリーは食事から摂るエネルギー、消費カロリーは体が使うエネルギーです。
体脂肪を減らすには、このカロリーバランスが最重要です。
参考記事:脂肪燃焼の7つの誤解を解消&効果的なダイエット方法!
Q3.ファスティングはリバウンドしやすい?
ファスティングはリバウンドをしやすいダイエットなのでしょうか?
正解は△です。
ファスティングは、体重がリバウンドしやすいダイエットです。
しかし、体脂肪がリバウンドするかはやり方次第です。
体重がリバウンドしやすい理由
ファスティングは、体重が落ちやすい反面、リバウンドしやすいダイエット方法です。
体重がリバウンドしやすい理由は、体重が落ちやすい理由とつながっています。
ファスティングでは2~3日で体重が3~4kg落ちることもよくあります。
体重が落ちるからと言って、その分体脂肪が落ちているわけではありません。
体重が3~4kg減っても、体脂肪は1kgも落ちていません。
体重が減る理由
体脂肪が減る以上に体重が減るのは、体脂肪以外のものが体から減るからです。
具体的には、水分・胃腸の内容物・糖質が減ります。
ファスティングをすると、胃腸の内容物がほとんどカラになるため、その分体重が軽くなります。
また、食事量が減って塩分の摂取が少なくなるので、他の体の水分も抜けやすくなります。
さらに、ファスティングを始めてから丸1日ぐらいで、体の中の糖質を使い切ります。
肝臓や筋肉には、400~500gぐらいの糖質を貯めています。
体の中の糖質は、水分と結びついて1.5~2kgぐらいの重さになります。
ファスティングをするとそれがほぼ全部なくなるため、体重が一気に落ちます。
体脂肪計の誤差
ファスティングでは、体脂肪の減少は、体重の減少よりもかなり小さくなります。
しかし、体脂肪計で測ると、体脂肪率も一気に減っている場合があります。
これは、体脂肪計の誤差です。
家庭用のものもジムにある業務用のものも、体脂肪計は精度が低くて誤差が大きく、体脂肪の変化を測ることはできません。
ファスティングを2~3日行って、体重が4kg落ちても、体脂肪は1kgも落ちていません。
その場合、体脂肪率は1%も落ちません。
しかし、体脂肪計では、大きく体脂肪率が落ちることがよくあります。
プレズ<Plez>では、体脂肪計は体重計として使うように指導しています。
ファスティングで体脂肪が大きく落ちた場合、残念ながら、それは体脂肪計の誤差です。
参考記事:体脂肪計・体組成計は使うな!痩せる体脂肪率の使い方
体重のリバウンド
ファスティングで水分などが減って体重が落ちた分は、普段の食事に戻すと、すぐに増えます。
これは、【ダイエットが成功したのにリバウンドでムダになってしまった】というものではありません。
食事を摂らず、異常な状態になったところから、正常な状態に戻っただけです。
体重のワナ
ファスティングをして一気に落ちた体重は、もともと、ほとんどが体脂肪以外の要因です。
そのため、体重が一気に戻るときも、体脂肪以外の要因が大きいのです。
長期的には、体重は体脂肪の変化と連動します。
しかし、短期的には、体重の変動≠体脂肪の変動です。
体脂肪のリバウンド
ファスティングをすると、水分などが減るだけでなく、体脂肪もある程度減っています。
体脂肪が減った分は、水分と違い、普通の食事をするとすぐに戻るものではありません。
【ファスティングをすると、体が脂肪をため込もうとして、栄養の吸収率が上がる】と言われることもあります。
しかし、栄養素の吸収率は約95%で、食事を摂らなかったからと言って上がるものではありません。
体重がリバウンドするからと言って、体脂肪も一緒にリバウンドするわけではありません。
リバウンドを防ぐ
ファスティングをした後に、体重が一気に戻っても、それは体脂肪がリバウンドしたわけではありません。
ただし、体脂肪がまったくリバウンドしないかというと、そういうわけではありません。
ファスティングを終わった後、以前と同じ食事・生活に戻すと、体脂肪は徐々に元に戻っていきます。
体脂肪や体重が落ちると、消費カロリーは自然と低下します。
その状態で食事・生活に戻すと、体脂肪は少しずつ増えていきます。
それを防ぐには、ファスティングをする前よりも、少しだけ食事のカロリーを減らすか体を動かすことです。
体重の減少1kgにつき、15~20kcalが目安です。
以前より少し注意するだけで、体脂肪のリバウンドは防げます。
参考記事:リバウンドの3つの原因を解明&リバウンドしないダイエット
Q4.筋肉が落ちやすい?
ファスティングでは水分や体脂肪が落ちますが、それと一緒に筋肉も落ちやすいのでしょうか?
正解は○です。
ファスティングは、筋肉が落ちやすいダイエットです。
筋肉によるボディメイク
食事でタンパク質を摂っていないと、筋肉はどんどん落ちてしまいます。
普通にダイエットをすると、体脂肪と筋肉は3:1ぐらいで減っていきます。
ファスティングでは、食事をほとんど摂りません。
特に、タンパク質を多く含む肉・魚は、だいたいNG食品とされます。
そのため、タンパク質もほとんど摂れません。
その結果、体脂肪と筋肉は1:1ぐらいと、普通のダイエットよりも筋肉が落ちてしまいます。
筋肉によるボディメイク
キレイな体を作るためには、男女とも、適度に筋肉が必要です。
体脂肪が少なくても、筋肉も少ないと、メリハリのない体になってしまいます。
体脂肪が減っても、一緒に筋肉が落ちてしまうと、ハリがなくたるみが残ってしまうこともあります。
ファスティング中でも、極力タンパク質を摂ることで、筋肉が落ちるのを制限できます。
【4.効果的なファスティングダイエット】で、筋肉が落ちにくいファスティングダイエットを紹介します。
Q5.準備・復食は必要?
ファスティングでは、準備や復食といった調整期間が必要なのでしょうか?
正解は×です。
一般的なファスティングでは、準備・復食がススメられます。
しかし、ファスティングをするのに、特別な準備・復食は要りません。
準備・復食は不要
ファスティングは単に食事をしないだけなので、それに対しての準備は不要です。
例えば、マラソンなどのハードな運動をするには、体力やエネルギーが必要です。
そのためには、練習や食事などの準備が必要です。
一方、ファスティングは食事をしないだけです。
胃腸をハードに使うならまだしも、胃腸を使わないための準備は不要です。
準備期間というのは、特に科学的根拠や意味があるものではありません。
また、終了後の食事も、復食というほどたいそうなものは必要ありません。
ファスティング後の最初の食事は食べ過ぎない方が良いですが、少し気を付ける程度で大丈夫です。
準備・復食のダイエット効果
準備や復食では、食べる量や食品を制限します。
そのため、準備・復食により、カロリーを減らしてダイエット効果を上げられます。
これは、特別なダイエット効果ではありません。
ファスティングと関係なく摂取カロリーを抑えた場合と、ダイエット効果は同じです。
結局、体脂肪が減るかどうかはトータルのカロリー次第です。
Q6.ファスティングは健康にいい?
ファスティングにはデトックス効果があり、健康のために良いと言われます。
ファスティングは健康を向上する効果もあるのでしょうか?
正解は△です。
この手の健康情報は、明確な根拠がないまま、商品やサービスを売るための情報が流されることがよくあります。
デトックスは根拠がない
ファスティングでは、有毒物質を排出するデトックス効果があると言われます。
しかし、有毒物質やデトックスというのはよく目にしますが、【有毒物質とは何か】という明確な説明と根拠は一度も見たことがありません。
少なくとも、複数の実証論文を見ても、有毒物質とは何か、断食が健康にプラスかどうかの結論は見つかりませんでした。
【現時点では、良いとも悪いともいえない】というのが結論です。
健康的にファスティング
ファスティングは、行っている最中に、頭痛やめまい、倦怠感など、体調不良になることがあります。
そのような症状が出れば、中止するようにしましょう。
特定の疾患の治療のためにファスティングを行うのであれば、医師の指導のもとに行っていただくのがベストです。
ファスティングをして体調が良くなるようであれば、ダイエット方法の1つとして実践していただくと良いですね。
途中で体調が悪くなるなら、特に取り入れる必要はありません。
ファスティングが唯一のダイエット法ではないので、柔軟に取り入れることができます。
Q7.酵素ドリンクは効果的?
ファスティングでは、代謝を促す酵素を取ると良いと言われます。
ファスティングでは、酵素ドリンクなどを取り入れる方が効果的なのでしょうか?
正解は×です。
酵素ドリンクには、ダイエット効果はありません。
むしろ、摂取カロリーが増えるので、ダイエットにはマイナスです。
酵素とは
酵素とは何かご存知でしょうか?
酵素とは、体の中で物質を変化させる働きをするものです。
体脂肪を分解したり、エネルギーに変換させる時も、酵素が働いています。
酵素を摂ることの効果
では、酵素を取ると体脂肪の分解や燃焼が進むかというと、残念ながらそういうわけではありません。
口から酵素を取り入れても、酵素として体内に吸収されるわけではないのです。
酵素とは、タンパク質の一種です。
摂ったタンパク質は、胃腸で1つ1つのアミノ酸に分解されて、体内に吸収されます。
分解された時点で、酵素は酵素としての働きを失います。
つまり、酵素を摂るということは、単にタンパク質を摂るということなのです。
酵素ドリンクのタンパク質
酵素はタンパク質の一種なので、酵素ドリンクを飲むと、タンパク質を摂ることができます。
しかし、酵素ドリンクの中のタンパク質(=酵素)は、かなり微量です。
だいたいの酵素ドリンクは、100g当たりで、タンパク質は1g未満です。
一方、肉や魚には、100g当たり20gぐらいのタンパク質が含まれています。
酵素ドリンクを飲むより、普通に食事でタンパク質を取る方が、圧倒的にリーズナブルでカロリーも抑えられます。
酵素はわざわざ摂る必要はありません。
普通に食事をしていれば、酵素は体内で勝手に作られて勝手に働いてくれます。
勝手に必要な分だけ作られますので、特に酵素を取り入れる必要はありません。
3.ファスティングダイエットのメリット・デメリット
ファスティングには、メリットもデメリットもあります。
特徴を理解して、メリットを得られるように、うまくダイエットに取り入れましょう。
3.1メリット
体脂肪が落ちやすい
ファスティングダイエットのメリットは、何と言っても、体脂肪が落ちやすいことです。
ファスティングでは、摂取カロリーがほとんどゼロになります。
体格や生活スタイルにもよりますが、摂取カロリーがほとんどなくなると、体脂肪を1日で200gぐらい減らすことができます。
これは、フルマラソを走るぐらいのダイエット効果です。
3.2デメリット
筋肉が落ちやすい
ファスティングは体脂肪を落としやすい一方、筋肉も落ちやすいダイエットです。
カロリーとタンパク質をほとんど摂らないダイエットなので、体脂肪と同じぐらい筋肉も落ちていきます。
体脂肪が減っても、筋肉が減ってしまうと、体のハリがなくなってしまいます。
そうすると、キレイなスタイルからは離れてしまうかもしれません。
ダイエット効果を勘違いしやすい
ファスティングでは、ダイエットの効果を勘違いしてしまいがちです。
それは、体重のワナによるものです。
体重は体脂肪以外の要因でも変動します。
ファスティングは2~3日で体重が3~4kg落ちるので、すごいダイエット効果があったように思ってしまいがちです。
数日続けていると、水分などが減らなって体重の減少ペースが落ちるため、停滞と思ってしまいます。
そして、ダイエットを止めると減った体重のほとんどが戻るので、リバウンドしたと思ってしまいます。
短期的に見ると、体重の変化≠体脂肪の変化です。
ファスティングは体重の変化が激しいダイエットなので、体重ばかりを見ると、ダイエット効果を勘違いして一喜一憂してしまいます。
参考記事:ダイエットに成功する体重の使い方、完全マニュアル!
ストレスが大きい
ファスティングの最大のデメリットは、なんといってもツラいことです。
ファスティングは、単純に食べないことによって、カロリーを減らして痩せるダイエットです。
食事をガマンする必要があり、ストレスの大きいダイエットです。
【食べないこと】はカロリーを減らす方法の1つです。
しかし、唯一の方法ではありません。
次の【4.効果的なファスティングダイエット】で、オススメのファスティングと、食事をしながらダイエットをする方法を紹介します。
4.効果的なファスティングダイエット
4.1オススメのファスティング
オススメのファスティングは、飲み物意外に、プロテインも摂る方法です。
ファスティングの大きなデメリットは、筋肉が落ちやすいことと、ツラいことです。
ファスティングをする中でも、プロテインを摂るようにすると、タンパク質を補給できます。
そうすると、普通にファスティングをやるよりも、筋肉を維持できます。
また、プロテインはある程度お腹に溜まるので、空腹も和らぎ、ストレスを軽くできます。
飲み物だけでなく、プロテインを摂ることでファスティングのデメリットをカバーして、うまくメリットを取り入れることができます。
参考記事:高タンパク低カロリーの食品109選と本当のダイエット効果
4.2ダイエットの本質
ダイエットの本質は、摂取カロリー<消費カロリーにすることです。
摂取カロリーは食事から摂るカロリー、消費カロリーはカラダが使うカロリーです。
体脂肪とは、体にカロリーを貯めているものです。
そのため、食事から摂るカロリーより使うカロリーの方が多ければ、体脂肪は自然と減っていきます。
本質が分かっていると、選択肢が増えて、自由にダイエットができます。
4.3自由なダイエット
プロテインを摂るファスティングは、オススメのダイエット方法です。
ただ、これが唯一のダイエット方法というわけではありません。
ダイエットの本質は、摂取カロリー<消費カロリーにすることです。
摂取カロリー<消費カロリーにすれば、ファスティングでもそれ以外の方法でも、体脂肪を落とすことができます。
食事をガマンすることは、摂取カロリーを減らす方法の1つです。
それ以外にも、【食事を変える】ことで、摂取カロリーを減らすことができます。
例えば、鶏肉を皮なしにするだけで、カロリーを一気に50%カットできます。
このようなカロリーカットを積み重ねれば、食事をしながらダイエットをすることができます。
ファスティングダイエットまとめ
ファスティングは効果的なダイエット方法ですが、間違った情報が多くあります。
ダイエットの本質を理解すると、デメリットをカバーしながら、上手くファスティングを取り入れることができます。
さらに、食事をしながら痩せることもでき、選択肢を増やして自由にダイエットができます。
正しい知識を身につけて、自由に楽しくダイエットを実践して、理想のスタイルと健康な体を手に入れましょう!
この記事のポイントまとめ
● ファスティングは、摂取カロリーが減るのでダイエット効果がある
● 飲み物とプロテインを摂るのが、オススメのファスティング
● 食事のカロリーを抑えれば、食事をしながらダイエットができる