体脂肪計は、手軽に体脂肪率を測れる機器として、家庭にも普及しています。
ダイエットでの体の変化を見るために、体脂肪計を使っている人も多いと思います。
しかし、体脂肪計の数値ばかり見てしまうと、ぬか喜びしてしまったり、ムダに落ち込んでしまうことがあります。
体脂肪計は、ダイエットの判断を誤らせてしまう危険があります。
この記事で、体脂肪計のワナと、体脂肪計の正しい使い方を紹介します。
この記事は、科学的な知見とトレーナーや医師への指導経験も持つ、プレズ<Plez>のコンサルタントが作成しました。
(ダイエットの結果には個人差があります)
1.体脂肪計・体組成計とは
体脂肪計・体組成計とは、体重や体脂肪率などを測るための機械です。
乗るだけで簡単に体脂肪率を測れる機械として、広く普及している製品です。
いろいろなメーカーから発売されていて、数千円で買える家庭用のものも数多くあります。
体脂肪計は体脂肪率を測るための機械なので、当然、正確な数字を測れると思ってしまいます。
しかし、実際は、精度が低くて誤差が大きく、体脂肪計は体脂肪率を正確に測ることはできないのです。
体脂肪計の数値は、実際には絶対にありえない動きをすることが、よくあります。
1.1体脂肪計・体組成計に関する悩み
プレズ<Plez>のクライアントさんからも、体脂肪率に関する悩みを伺うことがあります。
「体重も減って、見た目にも痩せていると思いますが、体脂肪率が増えています・・・これは体質のせいでしょうか?どうすればいいのでしょうか?」
「昨日の夜食べすぎてしまい、今朝体脂肪率を測ったら、5%も増えていました。また最初からダイエットをやり直しです・・・」
といった悩みを伺ったことがあります。
また、「ダイエットを初めて1日で、体脂肪率が2%も落ちました。スゴイです!」などの報告を受けることもあります。
しかし、これらは体脂肪計の誤差によるもので、本当の体脂肪率の動きではないのです。
1.2体脂肪計・体組成計の危険性
本当の体脂肪率の動きとは全然違っているのに、体脂肪計の数値を信じてしまうと、判断を間違ってしまいます。
今までの努力がムダになってしまったと思うと、極端な食事制限をして、健康を損なうことにもなりかねません。
また、食事を極端に減らしてストレスがたまると、ドカ食いに走ってしまうかもしれません。
また、「1日で2%体脂肪が落ちたなら、3日で6%落ちるはず!」と思ってしまうと、全然数字が変わらなくなり、ダイエットが停滞したと落ち込んでしまうかもしれません。
そのような間違った判断をしないように、体脂肪計の真相と、体脂肪計をどう使うのが良いかを紹介します。
2.体脂肪計・体組成計のワナ
体脂肪計は、便利な道具のようですが、ダイエットを失敗させてしまう可能性もあります。
間違った数値の動きを信じてしまわないように、本当の体脂肪率と、体脂肪計の数値との違いを解説します。
2.1体脂肪率の動き
体脂肪率は、体にどれだけ体脂肪があるかを表すパーセンテージです。
体脂肪率は、体重と体脂肪量で計算されます。
● 体脂肪率=体脂肪量÷体重
体脂肪率は、もちろん、体脂肪が少ないほど低くなります。
また、筋肉などを増やして体重を増やすことでも、数値は下がります。
水をたくさん飲んだり、食事をすると、一時的ではありますが、体重が増えて数値は下がります。
安定して数値を下げるには、体脂肪を減らすか、筋肉を増やす必要があります。
体脂肪量の動き
体脂肪量というのは、1日の中ではほとんど変動しません。
ダイエットを頑張っても、食べ過ぎても、1日で100~150gぐらいしか変わりません。
体脂肪は、摂取カロリー<消費カロリーになると減り、摂取カロリー>消費カロリーになると増えます。
体脂肪は、1kgで7,000~7,500kcalのカロリーがあります。
150gでも、1,000kcalぐらいのカロリーがあるのです。
つまり、1日で150g減らすには、摂取カロリー<消費カロリーを1,000kcal分作る必要があるのです。
これは、けっこうな努力が必要になります。
また、1日で150g増える場合というのも、1,000kcal余計に食べる必要があります。
少し食べすぎたぐらいでは、なかなか1,000kcalはいきません。
そのため、1日で動く体脂肪量はわずかなのです。
体脂肪率の動き
体重50kgの人が、1日に100g体脂肪を減らしたとしても、影響は約0.2%です。
つまり、短期間では、体脂肪率はほとんど変わらないのです。
1日ではほとんど変わりませんが、これを1ヶ月続ければ、体脂肪率を約5%下げることができます。
参考記事:体脂肪率を落とす方法!1ヶ月で5%減らす本物のダイエット
筋肉量と体脂肪率の動き
筋肉量によっても、体脂肪率は変動します。
極端なダイエットで筋肉量が一気に減ってしまわない限り、筋肉は、多くても1ヶ月で1kgぐらいしか変わりません。
増える場合も減る場合も、多くても1ヶ月に1kgぐらいの変動です。
1日にすると、30gぐらいしか変わりません。
筋肉の変動による影響は、1日に0.1%もないのです。
体脂肪率は、筋肉によっても、1日では劇的に変化することはありません。
2.2体脂肪計・体組成計の動き
本当の体脂肪率は、1日で0.2%ぐらいしか変わりません。
一時的に体の水分が変化したとしても、1%ぐらいの影響です。
しかし、体脂肪計の数値は、1日で大きく動くことがあります
1日での変化
プレズ<Plez>のクライアントで、「食べ過ぎた翌日に、体脂肪率が5%増えた」という方がいらっしゃいました。
体重が50kg台でしたので、体脂肪が3kg近く増えた計算になります。
本当にそれだけ増えたとすると、1日で20,000kcal以上食べる必要があります。
そのクライアントさんはフードファイターではなかったので、こんなにカロリーは摂っていません。
このように、体脂肪計の数値は、実際とは違う動きをしてしまうのです。
食後の変化
他にも、例えば、食事の前後でおかしな動きをすることがあります。
食事をすると、500g~1kgぐらい体重が増えます。
これは、食べたものの重量です。
食後すぐには、食べたものは吸収されていないので、体脂肪は増えていません。
そして、食べたものによって体重は少し増えるので、体脂肪率は減っているはずです。
しかし、経験上、多くの体脂肪計では、食後に数値が上がります。
食後すぐに測って、体脂肪率が増えると言うのは、明らかにおかしな動きです。
2.3標準的な体脂肪率
体脂肪率の目安
体脂肪率は、男性と女性で、少し違いがあります。
腹筋がバキバキに割れている男性は、体脂肪率が1ケタ台です。
一方、女性の場合、腹筋が割れていても、15%ぐらいはあります。
女性の場合、お尻や胸に体脂肪が多い分、平均して10%近く数値が高いのです。
男女別の目安がこちらです。
source:https://www.builtlean.com/2012/09/24/body-fat-percentage-men-women/
体脂肪率の平均は、男性で20%、女性で30%ぐらいです。
女性の場合、20%でもかなりスリムになります。
女性だと、20%以下にするには、ただ細いだけではなく、ある程度筋肉も必要です。
そのため、20%を切っている人はほとんどいないのです。
体脂肪計・体組成計の数値
体脂肪計で測定すると、女性で10%台の数値が出ることもよくあります。
たまに、女性で1ケタ台が出てしまうこともあります。
女性の場合、生理が止まってしまう体脂肪率が、18%ぐらいです。
女性で1ケタだと、生命の危機です。
体脂肪計は正確なように思ってしまいますが、本当はかなり精度が低いのです。
実際と近い数字が出ることもありますが、全然違う数字が出ることがよくあるのです。
3.体脂肪計・体組成計の精度
体脂肪計は、体脂肪率を測るための機器です。
にもかかわらず、どうしておかしな動きをしたり、変な数値が出てしまうのでしょうか?
それは、個人差が大きかったり、推定に限界があるからです。
3.1体脂肪計・体組成計の計算方法
体脂肪率の測定には、いろいろな方法があります。
その中で、家庭用の体脂肪計はほぼ全部、インピーダンス法という測り方をしています。
インピーダンス法というのは、体脂肪計から体に弱い電気を流し、その抵抗を使って体脂肪率を計算する方法です。
体脂肪より筋肉などの方が、水分が多くて電気抵抗が少ない、ということを利用した方法です。
身長・体重などのデータと、電気抵抗を基に、あらかじめインプットしているデータに当てはめて計算しています。
3.2体脂肪計・体組成計の誤差
体脂肪計の計算は、一見合理的なように見えますが、実際はかなり誤差が大きいのです。
その誤差によって、実際の体脂肪率とは違う動きをしてしまうのです。
体脂肪計の種類による違い
体脂肪計にインプットしているデータや計算方法は、機体によってバラバラです。
メーカーによって違います、同じメーカーの製品でも、体脂肪計の種類によって違います。
そのため、「この体脂肪計では20%だったのに、こっちに乗ると12%になった」ということがよくあります。
そして、どちらが正しいというものでもありません。
たまたま正確な数字を示してくれる場合もあると思いますが、あくまでもたまたまです。
ジムやエステに置いている高額なものでも、完璧に信頼できるものではありません。
家庭用より精度が高い方法を使っているものもありますが、それでもあくまで推定の計算です。
誤差によって、おかしな動きをすることはよくあります。
体脂肪率の個人差
水分量や電気抵抗は、個人差があります。
例えば、筋肉や体脂肪の中の水分量も、人によって違います。
同じ体脂肪量でも、水分が多い人は電気抵抗が小さく、体脂肪が少なく計算されてしまいます。
また、同じ人でも、体調や日によって変化が出ます。
例えば、塩分や糖質を多く摂ると、体の中の水分がいつもより増えます。
そうすると、電気抵抗が下がって、体脂肪率がかなり減ってしまいます。
このように、個人差や体調によっても、誤差が出てしまうのです。
3.2体脂肪計はあくまでも推定
体脂肪計の数値は、あくまでも推定の値です。
そして、かなり誤差が大きいので、体脂肪率の変化を正確には表してくれません。
体脂肪計の数値ばかりを見てしまうと、一喜一憂してしまったり、判断を誤ってしまいます。
体脂肪計の精度が低いなら、どうやってダイエットの変化を見れば良いのか、体脂肪計はどう使えば良いのかを紹介します。
4.体脂肪計・体組成計の使い方
体脂肪計を使う目的は、体脂肪がどれだけ落ちたか測るためです。
しかし、体脂肪計は誤差が大きく、正確な変化が分かりません。
そこで、ダイエットの目的に照らして、体脂肪計をどう使えば良いかを紹介します。
4.1体脂肪計・体組成計はこう使う
ダイエットの目的は、体脂肪を落とすことです。
体脂肪率というのは、あくまでも、どれだけ体脂肪があるかという目安にすぎません。
そして、体脂肪計で正確に測れるものではありません。
それであれば、体脂肪率を減らすことに、大した意味はないのではないでしょうか?
ダイエットをする目的は、体脂肪を落として、見た目を変えたり健康的な体を手に入れることのはずです。
体脂肪率が分からないのであれば、気にする必要はありません。
体脂肪計の数値を気にするのではなく、見た目の変化や体脂肪量の変化を大事にする方がずっと大切なのです。
体脂肪計は体重計
体脂肪計は、体重以外正確には表してくれません。
そのため、プレズ<Plez>のダイエット方法では、体脂肪計は体重計として使います。
正確ではない体脂肪率を落とすより、正確な体重を落とす方が、ダイエットの目標を達成できます。
ただし、体重にもワナがあります。
体重はダイエットの目安になりますが、少し注意が必要です。
4.2体重のワナ
体重は、ダイエットの目安になります。
体脂肪が落ちれば、体重も落ちるからです。
しかし、体重にもワナがあります。
体重も、変化を気にしすぎると、一喜一憂したり、モチベーションを落としてしまうことがあります。
体重は、ポイントを押さえてチェックするようにしましょう。
体重と体脂肪の変化
体重と体脂肪量は、ある程度連動して動きます。
ただし、これは、1ヶ月単位ぐらいの長期的に見た場合です。
数日~2週間ぐらいの短期では、体重と体脂肪は全く関係のない動きをします。
体脂肪は1日に100~150g程度しか動きませんが、水分などは1日に1~2kg簡単に動くからです。
体重は、ダイエットの目安になりますが、これは長期的に見た場合です。
体重は、あまり短期の動きを気にせず、長期的な動きを見るようにしましょう。
【体脂肪計の使い方】
● 体脂肪率→見ない
● 体重→長期的な変動を見る
参考記事:ダイエットに成功する体重の使い方、完全マニュアル!
筋肉と体重
また、体重も、あくまでも目安にすぎません。
長期的な体重は、筋肉量によっても変動します。
筋肉量が増えれば、脂肪が以前より減ったとしても、体重は増えます。
source:https://jp.pinterest.com/pin/91127592433680808/
【体重の使い方】
● 体重は長期的な変動を見る
● 体重はダイエットの目安にすぎず、目的ではない
5.体脂肪計・体組成計を使わないダイエット
ダイエットでは、体脂肪計を使う必要はありません。
そして、体脂肪計を使わなくても、体の変化を確認することができます。
ダイエットでの変化をしっかり把握でき、正しい判断が出来る、正確なチェック方法を紹介します。
5.1ダイエットのチェック方法
ダイエットの目的は、体脂肪を落とすことです。
体脂肪の変化を確認する方法は、3つあります。
それぞれ、特徴と一緒に紹介します。
体重
先ほど紹介したとおり、体重は体脂肪の目安になります。
ただし、筋肉や水分の変化でも、体重は変動します。
体重は長期的な変化を見るようにして、あくまでも目安として使いましょう。
見た目
見た目を変化させるためにダイエットを行う場合は、当然、見た目の変化が一番大事です。
キレイなスタイルになるためには、体脂肪計の数字ではなく、見た目の変化が大切です。
体脂肪計の数字が動かなくても、見た目が変われば、痩せたことに気づいてもらえます。
見た目の変化を分かりやすくするためには、ダイエットを始めるときに、写真を撮っておくことがオススメです。
そうすれば、後から見比べて、ダイエットでの体の変化が分かりやすくなります。
体のサイズ
スタイルを良くするためには見た目の変化が一番大切ですが、見た目だけだと、どれぐらい変化したのか分かりにくい場合もあります。
変化が正確に分かるようにするためには、体のサイズを測るのがオススメです。
見た目だけだと正確な変化が分からなくても、メジャーでサイズを測っておけば、変化が数字で分かります。
特に、体脂肪の変化が出やすいウエスト周りを測っておくと、ダイエットの成果が分かりやすくなります。
参考記事:正しいウエストの測り方&くびれが手に入るダイエット方法!
5.2効果的なダイエット方法
ダイエットをして体脂肪を落とす方法は、摂取カロリー<消費カロリーにすることです。
これがダイエットの本質です。
摂取カロリーを落とすには食事のカロリーを抑えること、消費カロリーを上げるには運動をすることです。
効果的なのは、食事を変えてカロリーを抑えることです。
食事で1kcal抑える方が、運動で1kcal消費するよりも、時間もかからず効率的に実践できるからです。
食事のカロリーは、ちょっとしたアイデアでカットすることができます。
サーロイン→ヒレにするなど、少し食べるものの種類を変えるだけで、カロリーを一気に落とすことができます。
食事を変えてカロリーを抑えれば、体脂肪計の数値は変わらなかったとしても、見た目はどんどん変わっていきます。
しっかり食事を管理すれば、1ヶ月で、周りの人に「痩せたね」と言ってもらえるぐらい体が変わります。
体脂肪計の数字にこだわって一喜一憂することなく、効果的なダイエットを実践して、ダイエットを成功させましょう。
体脂肪計・体組成計まとめ
いかがでしたでしょうか?
体脂肪計の数値が正しいと思っていた人にとっては、ショックだったかもしれません。
しかし、体脂肪計の数値が正確でないと分かれば、判断を間違えてしまうこともなくなります。
体脂肪計の数値は、ダイエットの目的ではなく、あくまでも目安です。
その目安が正確でないなら、気にすることなく、見た目を変えたり体重を減らすことを意識しましょう。
効果的なダイエットを実践すれば、体脂肪計の数字に関係なく、痩せて体を変えることができます。
ダイエットの正しいチェック方法を知って、効果的なダイエットを実践し、理想のスタイルと健康な体を手に入れましょう!
この記事のポイントまとめ
● 体脂肪計は誤差が大きく、体の正確な変化を表せない
● ダイエットの目的は、体脂肪計の数字ではなく体脂肪を減らすこと
● 体脂肪計の数字が変わらなくても、ダイエットは成功できる
● ダイエットのチェックは、体重・見た目・サイズの測定がオススメ